「わたしのイチオシきらら」
『まんがタイムきらら』(芳文社)は2023年11月9日に発売予定の12月号にて、20周年を迎えます。
大変めでたいですね!そして、20周年に合わせて読者の応援の気持ちを感想文という形で募集する企画「わたしのイチオシきらら」が同年8月24日から開催されました。
今回は、この企画についての考察などを述べていこうと思います。
※2023年11月9日追記
本日発売された『まんがタイムきらら2023年12月号』にて受賞者10名の感想文が掲載されました。受賞された10名の方々におかれましては誠におめでとうございます‼感想文を拝読させていただきましたが正に圧巻の一言でした…!
私はというと結果の通り受賞には至らなかった訳ですが、悔しさを感じつつも受賞作品の数々に触れたことで当サイトの執筆への意欲が以前より高まり、結果として当企画に参加して非常に良かったと感じております。
20周年という節目を迎えるにあたり関心が高まったのか、2023年11月9日現在、当記事が閲覧数が最も多い記事になっております。記事の執筆者が未受賞である気恥ずかしさと、曲がりなりにも「漫画紹介サイト」を称するブログの閲覧数ランキング1位が「雑談」であることへの釈然としない気持ちに苛まれております(泣)
この悔しさを糧に、今後もより一層精進していきたいと思います!
応募するからには受賞したい!
作品への感想は、普段ならこうして私の様にブログに感想を綴るか、本誌への応募やSNS上にて限られた字数の中でしか感想を呟くことしかできません。しかし、今回の企画では自身の持つきらら作品への想いを直接、それも字数制限なしで編集部の方々に読んでいただけるということで、それだけでもファン冥利に尽きますが、せっかく応募するからには表彰されたいのはと思うのは自然なこと、今回は「傾向と対策」なんていうと大袈裟ですが自分なりに受賞へと近づく策を構想したいと思います。
因みに2013年にも『まんがタイムきららMAX』(芳文社)にて同様の企画が行われており、その際の受賞者のブログ『笑本』(執筆者:乃凪いるか氏)があるので勝手ながらここで紹介させていただきたいと思います。ブログの構成や研究作品の数々は先輩ブロガーとしてだけではなく先輩きららファンとして大いに参考になります。
感想文の字数について
本企画では、感想文の字数に制限はありません。しかし、闇雲に感想を書き連ねた文章では、編集部の求める「作品に対する熱い感想文」には成り得ないと思います。
一般的に大学入試や公務員試験などで課される「小論文」では、800字程度の字数制限が設けられていることが多いです。また、『青少年読書感想文全国コンクール』の高等学校の部では2000字以内の字数制限が設けられています。「感想文」と題打っている事や編集部の方々の負担を考えると、本企画でも字数を800字から2000字の範囲で納めるのが無難であると睨んでいます。
限られた字数の中で簡潔に要点を押さえるべく「序論→本論→結論」の構成は徹底していきたいですね。
※2023年11月9日追記
正確にカウントした訳ではないので参考程度に留めていただきたいのですが、受賞者10名による感想文の平均文字数は約1400字、中央値は約1500字といったところでした。
過半数が1000字から2000字程度の文字数でまとめられている中、400字ほどで受賞された方もいらっしゃったので優れた感想文であれば比較的少ない文字数でも入賞可能であると思われます。
作品の選択
今回の企画では、『まんがタイムきらら』『まんがタイムきららMAX』『まんがタイムきららキャラット』『まんがタイムきららフォワード』『まんがタイムきららミラク』のいずれかで連載歴のある作品が対象ということで、既に連載が終了している作品や未映像化作品はもちろんのこと未単行本化作品までもが対象に含まれます。
そこで悩むのが作品の選択についてです。「純粋に好きな作品」を選択するのはもちろんですが、邪なことを考えると連載中の作品を選択したほうが受賞の可能性は高くなると思われます。
受賞者の感想文は『まんがタイムきらら』12月号誌面に全文が掲載されます。受賞者を称えるだけではなくその作品の宣伝効果も期待されます。慈善事業ではないのですから利益面を考えると仮に評価の同じ感想文が二つ以上あれば、連載終了作品よりも単行本や本誌の売り上げ上昇を見込める連載中の作品を選定すると考えるのが自然だと考えられます。
※2023年11月9日追記
入賞した10作品の内、過去にTVアニメ化した作品は7作品、2023年11月9日時点で連載中の作品は4作品という結果でした。「連載中の作品」というよりむしろ「TVアニメ化した作品」が多いという印象です。
TVアニメ化した作品はその後も長期にわたって連載されるケースが多く、その情報量の多さや知名度の高さに比例するように界隈は発展し新たな知見や考察を生み出します。このような歴史の厚みが当企画で編集部の求める「熱さ」に届き得たのか、或いはさらなる利益を見込んだ宣伝の意図があったのか、はたまた単なる偶然だったのかは我々にはうかがい知ることはできませんが、何しろ明確に「偏り」が出たのは事実です。今後同様の企画が開催された際には作品選びの参考にされてみてはいかがでしょうか。
感想文の投稿数
本企画では複数作品への応募も受け付けています。単純に考えれば応募数が多いほど受賞確率は上がりますが、近年こういった賞品の「転売」が社会的に問題視されており応募数によっては転売目的だと判断され選定から除外される可能性が想定されます。応募数は多くても各誌から一作品程度に納めておくのが無難であると考えます。そもそも「一推し」なのに複数応募するのは少々矛盾しているように感じます。
本件とは直接関係ありませんが、私は過去に「まんがタイムきららin名古屋」にて、特別イベントであった「大熊らすこ先生サイン会」に当選したことがあります。
本企画と同様に複数の著者への応募が認められている中、敢えて私は心からファンであると言える大熊らすこ氏にのみ応募しました。むしろ、ほかの著者のファンのことを考慮するとそうするべきだと考えていました。その考えは正しかったのか、結果的に当選できたので上記の迷信めいたものを未だに信じています。
実際に寄稿した文章
※2024年6月30日追記
当時、わざわざ記事まで書いて対策や傾向についてあれこれ論じたにもかかわらず賞に一掠りもしなかったことを恥じ、長らく文章は公開していませんでしたが、気持ちにも一区切りついたので供養のために下記に実際に寄稿した文章を載せます。何かの参考になれば幸いです。
「のけもの少女同盟」(著者:榛名まお)
題名「変化する日常、受け入れる覚悟」
「今までのギャグ漫画にはない衝撃のエピローグ」そんなキャッチコピーに惹かれて私はこの本を手に取った。大学受験、初めての一人暮らし、当時目まぐるしく変化していた日常に気疲れを感じていた私は、気が付けば『まんがタイムきらら』の持つ「日常の不変性」の虜になっていた。いや、私個人が勝手にそのようなレッテルを貼りそこに救いを求めていたのだろう。だからこそ、上記のキャッチコピーに心惹かれた。「変わることのない日常」に救いを求めていながらも「変化していく日常」に自分の知らない新たな世界が広がっていることを期待したからだ。
そんな私にとって、主人公である桐原霞がわずか半年ほどの短さでこの世を去るという展開には大きな衝撃を受けた。様々な理由によりクラスに居場所のない少女たち。不仲とまではいかないもののどこか互いにぎこちなさを感じる彼女たちが、数々のイベントを経て互いに中を深めていく過程での霞の死。「これから」のことに思いを馳せていたであろう霞の友人たちと、「これが最後」であると覚悟していた霞との「友情」や「日常生活」への認識の違いが唐突に突きつけられる展開と、わずか半年ほどのかかわりであったにもかかわらず、手紙の中で本当に幸せだとまで言い切るに至った霞の心情を思うと胸が締め付けられた。
この結末は、往年のきらら作品にみられた「ずっと仲良し、ずっと一緒」「この日常はこれからも」といった「きららの友情観」へのアンチテーゼであると私は感じた。「きらら作品」であるという一種の色眼鏡を外して本作品を読むと結末は所謂「それから数年後…エンド」と、主人公の死を含め物語としての展開はありきたりであるとも感じられる。しかし、先ほど述べたアンチテーゼを含め、このストーリーを『まんがタイムきらら』という場で描いたことに大きな意義があったのではないかと私は思う。
また、上記の結末を知っていれば大きく見方の変わる描写も本作品の魅力を語る上で欠かせないものである。霞の自宅へ風邪のお見舞いに行った際の霞の母の過剰な反応や、「普通の女子高生」なら気にも留めないであろうイベントにも憧れを示していた霞の性質など、物語開始時点で霞が自身の死を覚悟していたことを知ったうえで読むとその印象は違ったものに映る。本作品は単行本で全2巻という短さで完結してしまったが、その短さが上記のような場面を探すために物語を読み返すのに丁度よい長さにもなっており、半年でこの世を去った霞の体験ともリンクしているとも感じられた。
物語の最後は霞の死を受け入れて前を向いて進んでいった友人たちのその後を描いて幕を閉じる。変化を受け入れ前に進んだ彼女たちの姿は「変わることのない日常」に盲目的な救いを求めていた私の目を覚まさせ、「こんな展開があってもいい」と『まんがタイムきらら』への見方を広げるきっかけにもなった。安定した日常を求めることも悪ではないが、限りある人生を懸命に生きた霞に学び、時間の尊さを噛み締め日々変化していく日常を受け入れながら今後は新しい事にも積極的に挑戦していきたいと思う。
最後に
本記事は、受賞するために必要な要素に焦点を合わせて執筆しましたが、受賞目的でなくとも著者や編集部の方々へ日頃の想いを伝える貴重な機会ですので肩肘張らずに応募すればよいと思います。むしろそれこそが本企画の本来あるべき姿であるといえます。
私個人としても純粋にほかのきららファンが作品に対してどのような想いを抱いているのか大変興味深いです。受賞者発表までは期間があるので、まずは感想文を書き切りこれまで通り作品紹介などを行いながら気長に結果を待ちたいと思います。
長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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