惜しくも連載に届かなかった「ゲスト作品」、今となっては読む手段も非常に限られ、読者の記憶から忘れ去られるのを待つ一方となってしまいましたが、今に続くきららの長い歴史の礎となった彼らの存在を風化させないためにも、私の知っている範囲で作品を簡単に紹介していきたいと思います。
※更新は不定期になります。連載作品のゲスト回は対象ではありません。
- 2010年1月号~
- 『シネマト・パラダイス』(著者:tugenko)
- 『AAA』(著者:柳原満月)
- 『ハウリング!』(著者:善助)
- 『ちぇみコン!』(著者:天城七輝)
- 『アイオーンコード』(著者:柳原満月)
- 『99s』(著者:赤瀬よぐ)
- 『アビスライフ』(著者:よしむらかな)
- 『Clover Bear』(著者:高遠のね)
- 『さかさましすたーず』(著者:友永ケンジ)
- 『わたしのおすすめ!』(著者:くるくまつづら)
- 『SAVE THE EARTH!!』(著者:赤瀬よぐ)
- 『ゆとり乙女!』(著者:くぼたん)
- 『キミにカケル!』(著者:ぴかち)
- 『放課後ペンタグラム』(著者:伍長)
- 『ドワッフー☆~メルビルとジルバの卒業試験~』(著者:ホリ)
- 『ハルかにめぐる!』(著者:茶々)
- 『ろぶ すまっしゅ!』(著者:はっさく)
- 『たべる部』(著者:水あさと)
- 『ヤマトナデシコ』(著者:まご)
- 『モコモコニンニン』(著者:ホリ)
- 『ふたり。』(著者:津留崎優)
- 『ねこたま。』(著者:さかな45)
- 『モテブ!』(著者:ノブヨシ侍)
- 『田舎の子』(著者:オゲ)
- 『狸の狐の化け合戦』(著者:ひんし)
- 『うん!』(著者:イズミチト)
- 『「超常現象研究部」VSエイリアン』(著者:ノいたら)
- 『2-B!』(著者:連)
- 『ねーちょこ』(著者:ワダアルコ)
- 『学園タイムズ!』(著者:茶々)
- 『はるよみ』(著者:ハマちょん)
- 『じゃんじゃん日和』(著者:下駄コン)
- 『だい!どう』(著者:やざわん)
- 『ノルグラサーガっ!』(著者:秋津たいら)
- 『ミントシロップ』(著者:さかな45)
- 『こうりん堕天使さま』(著者:ひんし)
- 『méld in the school』(著者:あんねこ)
- 『スワンプX』(著者:TTOMM)
- 『ぷにぷにく』(著者:イズミチト)
- 『はるまきトラップ!』(著者:ノブヨシ侍)
- 『くれいじーラボラトリー』(著者:ホリ)
- 『遮莫‐それならそれで、しかたがない‐』(著者:IMO)
- 『隣のあるの。』(著者:連)
- 『サンタとトナカイが、小学生で。』(著者:あんねこ)
- 『ぶらっくろにくる』(著者:むらたたいち)
- 『サマーデイズ』(著者:さかな45)
- 『あいすき‐浮世絵の恋‐』(著者:青田めい)
2010年1月号~
『シネマト・パラダイス』(著者:tugenko)
掲載号:2010年2月号・4月号
❝おねがいします!5秒で帰ってくるんで 5秒で帰ってくるんで❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年2月号』.芳文社.81頁)
映画館好きな女子高生3人組が送る日常を描いた作品。「映画」ではなく「映画館」なのがポイントです。映画のチラシコレクターが登場するなど、映画作品のレビューというより映画館そのものを楽しむという雰囲気。「単館系」など今となっては聞きなれない単語も出てきます。
個人的には主人公であるさきの❝このカントクさんの作品好きなんだよね あーでもちょっとマイナーめだから あんあまり興味無いかもだけど❞(引用/『まんがタイムきらら2010年2月号』.芳文社.88頁)のたった二言から漂う圧倒的なオタク感が好きです。
主な登場人物:さき、あやか、えみ
『AAA』(著者:柳原満月)
掲載号:2010年2月号
❝ところでえーこはさー どっちが前でどっちが後ろなんだっけ?❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年2月号』.芳文社.161頁)
貧乳であることがコンプレックスである主人公えーこへの上記の強烈な皮肉から始まる物語。第1話丸々使って貧乳をイジリ倒した本作品ですが、えーこの発した「貧しいという表現は失礼だ」という意見には少し納得してしまいました。
主な登場人物:えーこ、あい、しぃ
『ハウリング!』(著者:善助)
掲載号:2010年3月号・9月号
❝もうちょっとこれぞ放送部って活動をしないとさいけないと思うわけよ❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年3月号』.芳文社.117頁)
放送部に所属する少女たちの学校生活を描いた作品。主人公あかねの上記の台詞から始まった本作品ですが、放送部の活動というより部員たちの雑談がメインになっています。
本作品には敏腕(びんわん)という独特な名前の少女が登場しますが、本編では名前の由来などには一切触れられないため、9月号の欄外にてニックネームであると明記されるまで本名かどうか分からない状態が続きました。5人もいる部員の中で唯一のニックネーム呼びなので疑心暗鬼に陥ることは必至です。当時の読者は約半年もの間、彼女の名前のことでモヤモヤを抱えていたのでしょうか。
主な登場人物:あかね、敏腕、はる、昴(すばる)、華子(かこ)
『ちぇみコン!』(著者:天城七輝)
掲載号:2010年3月号
❝世界を我が手に!!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年3月号』.芳文社.159頁)
世界征服を目論む生徒会長、薙原千微笑(なぎはら ちえみ)とその友人たちが送る学園コメディ。
「IQ200、全国模試一位、メガネ、萌え袖、幼女体型、アホ毛、ブラコン」の千微笑、「シャイ、隠れ目、筆談、片思い」の溝呂木と、これでもかと言うほどキャラ属性を詰め込んでおり、各コマの情報量の多い非常にボリューミーな1話でした。物語がキャラクターを動かしているのではなく、キャラクターが物語を動かしているという印象です。
千微笑のIQ200という数値は創作物のキャラクターとしても相当高いはずなのですが、先に『IQにとりりおん』(芳文社、著者:なんにゃか)にて「IQ二兆」を見てしまったために、これでも現実的な数値だと錯覚してしまいました。他にも具体的なIQ値が判明しているきららキャラが存在するので、いつの日か「きららIQランキング」なるものを作成してみたいものです。
主な登場人物:薙原千微笑、溝呂木
『アイオーンコード』(著者:柳原満月)
掲載号:2010年4月号・8月号・11月号
❝あたしの能力は”過去見の魔眼(アイオーン)” ちょっとだけ過去が見えます❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年4月号』.芳文社.135頁)
能力者だけを集めた学校を舞台に、過去を少しだけ見ることができる能力者、隣飼えーこ(となかい えーこ)とその仲間たちが送る学校生活を描いた作品。
能力を行使して社会の大きな問題に立ち向かうわけでもなく、あくまで学校内のちょっとしたイベントに能力が絡む程度という実にきらららしいテイストの作品です。校内全ての人間が能力者という、話のレパートリーに事欠かなそうな設定ですが、残念ながら3話のみの掲載。
連続掲載ではないことに配慮してなのか、毎回、登場人物の能力が発動するたびに派手に能力名が表示されるのが個人的にツボでした。
主な登場人物:隣飼えーこ、乾かむろ(いぬい かむろ)、四染うらら(しじみ うらら)
『99s』(著者:赤瀬よぐ)
掲載号:2010年4月号
❝ふははは愚かな奴らよ!! 返り討ちにしてくれるわ!!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年4月号』.芳文社.191頁)
当記事ではお馴染みとなった赤瀬よぐ氏の作品。魔王の元にレベル99の盗賊一行が押し入り好き勝手暴れた挙句に金品を奪い去っていくまでの様子を描いています。
圧倒的なスピード感で描かれるフルテンションコメディで、後出しで繰り出されるトンデモ設定にツッコミが追い付かずに呆然としている内に物語は幕を閉じます。どう考えても次話を想定していない作りが氏らしいと感じました。
タイトルの99s(きゅうじゅうきゅうズ)は、レベル99の主人公一行のことを指しているようですが、「s」は英語の複数形と「秒数」を掛けていると思うのは深読みでしょうか。
主な登場人物:ミミムム、ナズサ、エミル
『アビスライフ』(著者:よしむらかな)
掲載号:2010年5月号
❝深海──── そこは人の手がいまだに及ばぬ地球最後の秘境である───❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年5月号』.芳文社.125頁)
擬人化された深海生物たちの暮らしや生態を描いた作品。深海生物のキャラクター造詣が非常に秀逸で、モデルとなった生物の特徴的な大きな顎や足の膜をパーカーや傘などのファッションで表現しているほか、ダイオウグソクムシはその生態を人間社会の職業である清掃員に当てはめるなど、視覚的に伝わりやすくする漫画ならではの工夫が随所に見られます。
後年に体内の細胞を擬人化した『はたらく細胞』(講談社、著者:清水茜)が人気を博したことを踏まえると、先見の明があったともいえる本作品ですが、残念ながら1話のみの掲載。
本作品はまんがタイムきららMAXにて連載された『あわーちゅーぶ』(著者:よしむらかな)1巻に収録されています。
主な登場人物:ダイオウグソクムシ、フクロウナギ、コウモリダコ、シーラカンス
『Clover Bear』(著者:高遠のね)
掲載号:2010年5月号・6月号・7月号
❝もう一回友達をつくる時の練習をしましょう…!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年5月号』.芳文社.143頁)
伯母の響が理事長を務める私立姫宮女学院に編入することになった主人公、有栖川奏(ありすがわ かなで)は学友を作ることを夢見ていたものの、過保護である響の余計な一言が原因で編入初日から周囲に距離を置かれてしまう。しかし、そんな彼女を周囲とは違った目で見つめる少女が一人いたのだった。
気に入ったメイドを自分の専属にできる私立姫宮女学院を舞台に、お嬢様の奏と玉の輿を狙うメイドの天野めめが送る学校生活を描いた作品です。大きな瞳が特徴的なディフォルメチックな可愛らしいキャラクターデザインが印象的。天真爛漫な小動物系女子の奏と庶民派なめめの凹凸コンビ感も魅力です。
主な登場人物:有栖川奏、響、天音めめ、スミレ
『さかさましすたーず』(著者:友永ケンジ)
掲載号:2010年5月号
❝姉のみきは ミニマムです❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年5月号』.芳文社.192頁)
小柄で天真爛漫な姉のみき、高身長だが胸がないことがコンプレックスのしっかり者の妹かすみ、周囲からもよく姉妹逆に見間違われる二人の日常を描いた作品。タイトルの通り二人のさかさまっぷりをテンポよく描いた4コマ漫画らしい作品です。
主な登場人物:みき、かすみ
『わたしのおすすめ!』(著者:くるくまつづら)
掲載号:2010年6月号・7月号
❝何を隠そう私は先生のことが好きでたまらないのです!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年6月号』.芳文社.102頁)
男性教師の今野に恋するエネルギッシュな女子高生、高丘杏が送る日常を描いた作品。男性キャラクターが登場することすら珍しい本誌において教師生徒間の恋をテーマにした挑戦的な作品です。
杏にどれだけアプローチされようとも態度を崩さない今野の教育者としての姿に同業者として感心しました。杏は作中にて今野にふさわしい妻になるべく家庭部を立ち上げるのですが、こんな私利私欲に塗れた部活動に文句も言わずに参加する友人たちの付き合いの良さにも驚きです。
主な登場人物:高丘杏、今野、さの、小道
『SAVE THE EARTH!!』(著者:赤瀬よぐ)
掲載号:2010年7月号
❝ようこそ!! 地球防衛部へ!!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年7月号』.芳文社.151頁)
今度の赤瀬よぐワールドの舞台は宇宙…ではなく教室。終末の日(ジエンドデイ)から地球を守ると高らかに宣言した次の瞬間、まずその終末の日が何なのかを考えるところから始めようという安心感すら覚える出オチ展開から物語は始まります。この間僅か4コマ。
ページをめくると部員2名が宇宙生命体とパソコンであるという超展開が待ち受けていますが、驚くコマすら惜しいと言わんばかりに即座に2人を受け入れる地球人の部長、村咲まなみ(むらさき まなみ)の器量の大きさに感心している内に物語は終わりを告げます。
1ページ目の欄外にも書かれていますが、救ってほしいのは地球ではなく総ボケ状態のこの作品です。
主な登場人物:村咲まなみ、須々木棚香(すずき たなか)、井藤ネピフルナーゼリノロサール
『ゆとり乙女!』(著者:くぼたん)
掲載号:2010年7月号
❝円周率って2だっけ?3だっけ?❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年7月号』.芳文社.209頁)
勉強が苦手な女子高生の乙女を見かねた母が家庭教師として雇ったのは小学2年生の少女、新島百合だった。
学校で習う知識をロリ家庭教師とテンポよく学んでいくというスタイルの本作品ですが、勉強を教えてもらったお礼にと、百合に町の夕焼けを見せに連れて行った際に乙女の発した❝夕焼けにも理由があったんだね❞(引用/『まんがタイムきらら2010年7月号』.芳文社.215頁)という台詞が何となく印象に残っています。
夕焼けが赤く見える理由を知識として理解していただけだった百合が、乙女の言葉をきっかけにその美しさに改めて気が付く構図、百聞は一見に如かずと言いますが、情報社会を生きる現代人の我々もこの感覚を忘れないようにしていきたいですね。
主な登場人物:乙女、新島百合
『キミにカケル!』(著者:ぴかち)
掲載号:2010年8月号・9月号・10月号
❝この物語は 夢と 希望と 青春をかけた 漫研の物語である❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年8月号』.芳文社.109頁)
漫画を描くことが好きな女子高生、黒澄つぐみ(くろずみ つぐみ)は、ある日、クラスメイトの榎本カケル(えのもと かける)に偶然漫画を見られたことをきっかけに互いの絵を披露しあうことになる。誰かと絵を描くことの楽しさを知ったつぐみは、「絵は下手だが描きたい」と願うカケルの中から確かな情熱を感じ取ったことで漫画研究部への入部を持ちかけるのだった。
適度な百合要素やドラマチックなモノローグなど本誌での連載を意識していることが見て取れる意欲的な作品でしたが残念ながら3話のみの掲載となりました。
本作品は同名のタイトルでまんがタイムきららキャラット2010年9月号にも掲載されており、「kirara☆stadium」の企画凍結以降で複数誌での同時掲載を実施した珍しいゲスト作品になります。
主な登場人物:榎本カケル、黒澄つぐみ、八百板幸(やおいた さち)、吾妻凛(あずま りん)
『放課後ペンタグラム』(著者:伍長)
掲載号:2010年9月号・10月号
❝わ…私が副会長に任命されました中山実です❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年9月号』.芳文社.75頁)
北海道から本州の新設校に入学した中山実(なかやま みのり)は、中学生時代に学級委員だった経験を買われて担任から生徒会への入会を推薦されてしまうことに。
不本意であったものの周囲に流されるままに副会長に任命されることになってしまった実と生徒会の仲間たちが送る日常を描いた作品。生徒会を題材にした作品ですが活動内容よりも学校生活での何気ない会話をメインにした作風です。
実も自身のことを流されやすい人間だと評していますが、実際に第1話では副会長に任命されるまでとんとん拍子に事が進んでしまい殆ど発言できておらず、台詞の殆どがモノローグになってしまっており、その不憫さがひしひしと伝わってきます。
主な登場人物:中山実、河合真琴(かわい まこと)、平原朝見(ひらはら あさみ)、大沢ひかる、斎藤知里(さいとう ちさと)
『ドワッフー☆~メルビルとジルバの卒業試験~』(著者:ホリ)
掲載号:2010年9月号
❝かんばしくないって何ですか❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年9月号』.芳文社.117頁)
ドワーフの少女たちが送る学園生活を描いた作品。本誌では脱力ファンタジーギャグと紹介されていました。ドワーフというと男女ともに背丈が低いが屈強というイメージですが、本作品では背丈が低い部分に比重を置いた可愛らしいデザインになっています。
主な登場人物:メルビル、ジルバ、ディーゼル、ココナ
『ハルかにめぐる!』(著者:茶々)
掲載号:2010年9月号、2012年1月号・10月号
❝私もう写真部やめる…❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年9月号』.芳文社.159頁)
写真部に所属する鳥丸ハルカと戌亥めぐるの二人が送る学園生活を描いた作品。冒頭の4コマで愛機を壊してしまい退部を宣言するハルカに「一話で!⁉」とメタいツッコミを入れる中々に勢いのあるスタートを切りました。全体的に脱力感の漂うコメディが持ち味です。
第2話は第1話から約1年半後の掲載ということもあり、絵柄の変化の他に、第1話では「巡」と漢字表記だったのが第2話からは平仮名表記となるなど設定の変更も見られました。
本作品の第1話から第3話までの間に氏は同誌で「学園タイムズ!」「くびかりさま」の2作品を掲載しており、1作品のみならず2作品も跨いで掲載されるという珍しいゲスト作品です。
主な登場人物:鳥丸ハルカ、戌亥めぐる
『ろぶ すまっしゅ!』(著者:はっさく)
掲載号:2010年9月号
❝バカ騒ぎできるのなんて学生のうちだけなんだから 三人一緒に思いっきり楽しんじゃえばいいんだよ!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年9月号』.芳文社.198頁)
ソフトテニス部に所属する少女たちの日常を描いた作品。部活モノですが、ボールを過度に膨らませて遊んだり、片付けでバスケットボールを始めたりと非常に緩い雰囲気が特徴です。
物語とは関係ありませんが、登場人物の4人のうち部長の名前だけが判明しなかったことにモヤモヤしました。他の3人の名前から考えて「冬」の付く名前だと思われますが一体どんな名前だったのでしょうか。
主な登場人物:夏希、小春、黒宮秋音、
『たべる部』(著者:水あさと)
掲載号:2010年10月号・12月号
❝我が部は作ることはなにより みんなで食べることも部活の一環としている部です❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年10月号』.芳文社.76頁)
料理に興味のある女子高生、江戸川橋円(えどがわばし まどか)は、自身の腕を磨くべく調理部を訪ねるが、そこは調理部ではなく「たべる部」だった。
この年代に多くみられた家庭科系部活モノの中でも本作品は食べることをメインに描写しています。丸みのある可愛らしいキャラクターデザインも特徴的で、2話ともカラー掲載なこともあってその魅力が存分に生かされています。
たべる部の先輩部員である市川千佳子は、自己紹介の際に「得意料理はお菓子全般と“チャーハン”」だと発言しているのですが、作中で登場するのは洋菓子ばかりで得意料理であるチャーハンが披露されることはありませんでした。わざわざピンポイントで言うあたり相当自信があると思われるだけに見ることができなかったのは残念です。
主な登場人物:江戸川橋円、真間みなみ、市川千佳子、国府台灯子(こうふだい ともこ)
『ヤマトナデシコ』(著者:まご)
掲載号:2010年10月号・12月号
❝いやあモテるねやまとお兄ちゃん❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年10月号』.芳文社.91頁)
ひょんなことから妹であるさくらの双子の姉として学校に通うことになってしまったオタク”男子”のやまとが送る日常を描いた作品。コミュニケーションが苦手であるにもかかわらず、異性に好かれる姉の代わりに告白を引き受けさせられるやまとが不憫でなりません。
メイクもしていないにも関わらず周囲から一切の疑惑を持たれることなく女子として受け入れられるやまとの男の娘適性の高さにも驚きですが、本人も窓に映る自身の姿を見て「カワイイのかもしれん…」と呟く辺り案外満更でもなさそうです。
主な登場人物:やまと、さくら、ちずる
『モコモコニンニン』(著者:ホリ)
掲載号:2010年10月号・11月号、2011年1月号・2月号
❝モコは忍者じゃないですよまや達と同じじょしこーせーです❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年10月号』.芳文社.120頁)
舞台は現代の日本、忍者であるモコは、時代と逆行する忍の在り方に嫌気がさし、憧れの女子高生となるべく里を抜け出したのだった。街で偶然出会った忍者オタクのまやと、その友人であるみはる、そして、後見人のツバメ、お頭たちに見守られながらモコが普通の女子高生となるまでの日常を描いた作品。
全体的に穏やかな作風で、幼児体型でマスコット感溢れるモコの愛くるしさや、次第当主である彼女が里を離れることをあっさりと承諾し、その後もいく先々で一般人に扮しながら彼女を温かく見守るツバメとお頭のコミカルさが魅力です。
因みに本作品は、まんがタイムきららキャラット2011年5月号にも掲載されています。
主な登場人物:みはる、まや、モコ、ツバメ、お頭
『ふたり。』(著者:津留崎優)
掲載号:2010年11月号・12月号、2011年1月号
❝君の事を考えていたら心が苦しくて眠れなかった…❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年11月号』.芳文社.75頁)
緩いタッチで描かれる、少々間の抜けた少女の赤坂と、その恋人である男子高校生石井が送る日常を描いた作品。気軽に冗談を言い合える気を許し合った二人の付かず離れずな絶妙な距離感がなんともくすぐったいです。
主な登場人物:石井、赤坂、寺島、佐々木
『ねこたま。』(著者:さかな45)
掲載号:2010年12月号、2011年2月号
❝かえって!ここはじいちゃんとタマのいえなの!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年12月号』.芳文社.78頁)
遠方の高校に通うにあたって、亡くなった祖父の空き家に住むことになった主人公の田中あつ子は、祖父の家で猫又のタマと出会う。我儘なタマとの少し不思議で愉快な同居生活を描いた作品です。
「猫又」とは、人家で飼われていたネコが年老いて化けると言われている妖怪。水彩画の様な温かみのあるタッチで描かれた作品で、幼い外見相応に我儘ながら愛くるしいタマとは対照的に高校一年生とは思えぬ落ち着きぶりを見せるあつ子、二人のまるで親子の様な温かな関係性が見ていて非常に心地よいです。
主な登場人物:タマ、田中あつ子
『モテブ!』(著者:ノブヨシ侍)
掲載号:2010年12月号、2011年1月・2月
❝あーオレも モテモテになって恋とかしてぇー!❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年12月号』.芳文社.109頁)
異常なまでに恋に執着する思春期真っ盛りの男子高校生ヨセル、幼馴染の少女の鯉野マホ、悪友のウナジの3人を中心に展開される男子高校生の煩悩に塗れた日常を描いた作品。第1話の1コマ目から飛び出す上記の台詞が、この作品の作風と男子高校生の馬鹿さ加減を表しています。
デフォルメの利いた絵柄が特徴的、何かにつけて物事を恋愛と絡めては、勢い任せに行動し空回りするヨセルたちの様子を起承転結で奇麗に4コマに収めており、全体的にテンポがよく非常に読みやすいと感じます。
母親の手作り弁当を交換し合い「魅惑の人妻弁当」と表現するなど、恋愛経験が乏しい割に無駄に豊かな想像力を発揮する彼らからは愛嬌と同時に悲哀を感じます。
本作品の紅一点であり、上記二人のツッコミ役であるマホも良い味を出しています。初登場時のコマでは後頭部で手を組み、一人称は「ウチ」と、どこかあっさりした性格。ヨセルたちが理想とする二次元的な女子像からは離れたリアルな女子高生として描かれていますが、呆れながらも二人の奇行に付き合うノリの良さもあって、恋に執着するヨセル、ウナジとトリオとしてバランスが取れています。
個人的に気に入っていた作品なのですが、残念ながら3話のみの掲載。4コマ漫画としての完成度は高いものの作風がきららのカラーに少々あっていなかったのが連載に至らなかった原因でしょうか。
主な登場人物:ヨセル、鯉野マホ、ウナジ
『田舎の子』(著者:オゲ)
掲載号:2010年12月号
❝都会にもお花畑ってあるんだなぁ❞
(引用/『まんがタイムきらら2010年12月号』.芳文社.209頁)
高校進学を機に田舎から都会に引っ越してきた少女、芹沢瀬波が送る学校生活を描いた作品。都会のビルやマンションの高さを前に田舎民が地元の「標高の高さ」を、都会民が「土地の高さ」を競うあるあるネタを披露してくれました。
主な登場人物:芹沢瀬波、佐藤久野
2011年1月号~
『狸の狐の化け合戦』(著者:ひんし)
掲載号:2011年1月号
❝さてはあなたもたぬき!❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年1月号』.芳文社.192頁)
女子高生の日向は、ある日、学校内で狐と化け合戦を行っている最中であった狸の八島の変化を見破ったことで彼女たちの争いに巻き込まれることに。人間に変化は出来ても耳や尾は隠しきれないお約束設定にはどこか安心感を覚えます。化け狸や狐を目の当たりにしても動じることなく、「暇だからと」彼女たちのいざこざに付き合う妙に肝が座った日向が印象的です。
主な登場人物:日向、八島
『うん!』(著者:イズミチト)
掲載号:2011年2月
❝私加成凶子 不幸です❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年2月号』.芳文社.185頁)
不幸体質である少女、加成凶子、その友人であり幸運の持ち主である四葉希望、同じく彼女の友人の普通の女子高生、普波真中の3人の少女が送る学校生活を描いた作品。度々不幸に見舞われる凶子の不憫な様子がコメディとして描かれていますが、そんなことよりもストレート過ぎる名前が気になって仕方がありません。創作物の登場人物の名前には奇抜なものも多いことは承知の上ですが、それでもここまで直球に負のイメージを抱かせる名前には驚きました。
作中で彼女の名前に振り仮名は振られていませんが、おそらく読みは「かなりきょうこ」、近年人気を博した『ぼっち・ざ・ろっく!』(芳文社/著者:はまじあき)の主人公である後藤ひとり(ごとう ひとり)もその独特な名前からインターネット上で語り草となっていますが、一体両親は何を思ってこんな名前にしたのでしょうか。
ひとりに関しては実業家の斎藤一人(さいとう ひとり)を始め現実にも存在する名前であり、後藤夫妻が何か特別な願いを込めて付けた可能性を否定できませんが、「凶子」に関しては流石に言い逃れが出来ない気がします。
主な登場人物:加成凶子、四葉希望、普波真中
『「超常現象研究部」VSエイリアン』(著者:ノいたら)
掲載号:2011年3月号
❝もしや召喚されたのかな 人間界なんて初めてきたよ❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年3月号』.芳文社.27頁)
オカルト研に所属する少女、葛城芥子はある日、部室内で魔法陣を描き「UFO」を呼ぶのだという友人、信貴寺葵の奇行を目にする。無事に儀式は成功し呼び出されたのは、宇宙人…ではなく「悪魔」であった。
B級映画感満載なタイトルとは裏腹に全体的に落ち着いた雰囲気の作品です。勝手に召喚された挙句、葵に「エイリアンだからリアン」と名付けられた正真正銘の”悪魔”リアンのまるで恐怖を感じない子犬の様な愛くるしいデザインが印象的です。
主な登場人物:葛城芥子、信貴寺葵、リアン
『2-B!』(著者:連)
掲載号:2011年3月号・4月号・5月号
❝英語はわがんねぇがら日本語で話でくれっけ?❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年3月号』.芳文社.44頁)
いつも元気でちょっぴりお馬鹿?の日向のん(ひむかい のん)、茨城弁が特徴的なハーフのアリス・よしこ・ブレナン、ツンデレ気味でお子様体型の鵲ヒヨコ(かささぎ ひよこ)、振り回され体質な委員長の寿つかさ(ことぶき つかさ)の4人の少女が送る学校生活を描いた作品。
明確なストーリーは無いフリースタイルな日常系作品ですが、何といっても祖父母仕込みだというアリスの強烈な茨城弁が印象的です。あまりの方言の強さに彼女の台詞だけ読む速度が露骨に落ちます。上記の台詞も打ち間違いがないか何度も確認しました。
主な登場人物:日向のん、アリス・よしこ・ブレナン、鵲ヒヨコ、寿つかさ
『ねーちょこ』(著者:ワダアルコ)
掲載号:2011年3月号
❝ねーたんおそろいでかいものいこ❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年3月号』.芳文社.75頁)
キュート(?)な双子のおかしな日常を描いた作品。人気イラストレーターであるワダアルコ氏のまんがタイムきららでの掲載作品になります。温かみのある可愛らしい絵で、姉にべったりな妹のちょこの小動物的な愛くるしさが魅力的です。
主な登場人物:白井寧子(ねーこ)、ちょこ
『学園タイムズ!』(著者:茶々)
掲載号:2011年3月号
❝はいはーい!冬だし おいしい鍋特集がいいと思いまーす❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年3月号』.芳文社.177頁)
新聞部に所属する少女たちと、奇妙な転校生エリスが送る学校生活を描いた作品。残念ながら1話のみの掲載であるため、新聞部らしい活動どころか主人公の名前すらわからぬまま物語は幕を閉じてしまいました。
主な登場人物:エリス・バックヤード如月
『はるよみ』(著者:ハマちょん)
掲載号:2011年4月号・6月号
❝私、日向 小春には密かな楽しみがあった❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年4月号』.芳文社.143頁)
文芸部に所属する日向小春、夏目ゆず、杉崎まみの3人の少女たちの日常を描いた作品。文芸部としての活動よりも、高校生として送る日常に焦点を当てた物語、程よい百合要素などきらら作品として非常に読みやすいと感じました。
「自己主張が少なく控えめな小春は、自身に対してスキンシップの激しいゆずとの距離感に悩んでいたものの、友人であるまみの提案をきっかけに一度距離を置かれたことで、部活と彼女たちが自身にとって非常に大きな存在になっていることを再認識し、彼女達に自身から歩み寄る」という1話からクライマックスな内容です。
2話ともセンターカラーでの掲載でもあり、ゲスト作品としては恵まれた扱いを受けています。
主な登場人物:日向小春、夏目ゆず、杉崎まみ
『じゃんじゃん日和』(著者:下駄コン)
掲載号:2011年4月号
❝リンはこの学校に住みついている幽霊で私の友達ですが 一つ問題があります。それは…❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年4月号』.芳文社.160頁)
学校に住み着く地縛霊であるリンと、彼女の友人であり校内で唯一彼女を視認できる少女つるぎの2人が送る学校生活を描いた作品。自分以外には見ることができず空中浮遊の出来る幽霊リンを利用して、遅刻の回避や一発芸を披露し面白おかしく学校生活を送る2人を描いた穏やかな作品でした。
主な登場人物:つるぎ、リン
『だい!どう』(著者:やざわん)
掲載号:2011年4月号
❝パフォーマンス部へ ようこそ‼❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年4月号』.芳文社.195頁)
運動の苦手な主人公、山森悠里が吹奏楽部の見学のために道を尋ねたのは大道芸部(パフォーマンス部)であった。部員たちが次々に自己紹介と共に自身の担当パフォーマンスを披露する部活モノとしてはお手本のような第1話でしたが、残念ながらこの1話のみの掲載。
マイナーな部活を題材にした作品ですが、私はきらら作品でこういった自分の知らない分野を広く浅く知るのが好きなので是非とも続いてほしかったです。
主な登場人物:山森悠里、結城なつる、大桃メル、元橋奈緒、篠田茅
『ノルグラサーガっ!』(著者:秋津たいら)
掲載号:2011年6月
❝ここは魔力にすぐれ魔法使いとしての資質を持つ者たちが集まる 王立魔法学校❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年6月号』.芳文社.93頁)
優れた魔力を持つ魔法使いの卵たちが集う魔法学校を舞台に、生まれつき魔力を殆ど持たない代わりに並外れた運動神経を持つ少女ノールグラフが、幾多の課題を持ち前の怪力で解決していくという物語。
2024年現在、某週刊少年誌にて連載中の作品が脳裏をよぎる設定です。本作品でも魔力の無いノールグラフが杖に乗り宙に浮くという課題が課せられる場面があるのですが、こちらでは「足を高速で動かし空気をかきだし浮く」ことでパスしました。
主な登場人物:ドリルシルツ、ノールグラフ、マジメナクローネ
『ミントシロップ』(著者:さかな45)
掲載号:2011年6月号
❝私もフミちゃんとこうやって帰れるのうれしいよ❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年6月号』.芳文社.112頁)
文学少女のカナ、元気いっぱいのフミの二人が帰り道で交わす優しい時間を描いた作品。夕暮れに照らされる電車内で談笑する二人を温かみのある絵で美しくも儚げに描いています。1話の最初から最後まで電車内での会話のみで構成するという斬新な作品ですが、短い時間ながらも二人にとって濃密な時間であることや、何気ない日々の尊さを感じさせる良いアイデアだと感じました。
主な登場人物:カナ、フミ
『こうりん堕天使さま』(著者:ひんし)
掲載号:2011年6月号・11月号
❝幸せはいりませんか❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年6月号』.芳文社.175頁)
自宅で暇をしていたものぐさな女子高生、あやせの元に突如現れたのは「天使」だった。そして何故かそこに悪魔まで出現することに…3人が送るドタバタな日常を描いた作品。
幸せを届けに来たという割に厄介ごとばかり起こす天使ですが、すぐそばに外見に反して大人しくしている悪魔がいるせいでその傍若無人っぷりが際立って見えます。2人とも第2話ではすっかり人間界の生活に馴染んでおり、異種族同居モノの要素も備えています。
主な登場人物:あやせ、天使、悪魔
『méld in the school』(著者:あんねこ)
掲載号:2011年7月号
❝私には付きっきりのメイドがいる❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年7月号』.芳文社.93頁)
お嬢様である志鶴(しづる)と彼女に従える専属メイドであるメイの2人が送る学校生活を描いた作品。顔色一つ変えずにメイに雑用を押し付け、彼女をこき使う志鶴ですが、メイのポンコツっぷりに不思議と不憫さは感じません。
余談ですが、2024年9月14日現在、公式サイトでは『meld in the school』と表記されておりアポストロフィが抜けています。「m“ai”d」ではなく「m“él”d」なのも気を付けたいポイントです。
主な登場人物:メイ、志鶴、叶衣(かない)
『スワンプX』(著者:TTOMM)
掲載号:2011年7月号
❝さぁメガネ魔法少女に変身してアレをやっつけて下さい!❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年7月号』.芳文社.118頁)
普通の女子中学生、沢知佳水香はひょんなことから、代々黒魔術師の血を引くという少女、白山島によって無理やり魔法少女に変身させられることになってしまう。学校の平和を守るために奮闘する2人の少女の学校生活を描いた作品。
黒魔術師でありながら、可憐な魔法少女に憧れる白山島によって勝手に素質を見出され、有無を言わさずに魔法少女にさせられる佳水香でしたが、所謂「魔法少女モノ」でもここまで本人の意思が尊重されない契約シーンも珍しいのではないでしょうか。
主な登場人物:沢知佳水香、白山島、沢知文香
『ぷにぷにく』(著者:イズミチト)
掲載号:2011年7月号
❝私河上みわ高校1年生 体形が気になる年頃です❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年7月号』.芳文社.199頁)
食べることが好きな女子高生、河上みわは体形が気になるお年頃。そんな彼女はある日、登校中に偶然出会った転校生の小長谷あんり(こながや あんり)に一方的に運命を感じられることに、「痩せたい」みわと「ぷにぷにが好き」なあんり、2人の学校生活を描いた作品です。
体形が気になるという割に間食してばかりのみわですが、丸みを帯びた温かみのある絵で描かれる幸福感に満ちた表情を見ると細かいことはどうでもよくなってきます。いっぱい食べる君が好き。
主な登場人物:河上みわ、小長谷あんり、尾崎さちこ
『はるまきトラップ!』(著者:ノブヨシ侍)
掲載号:2011年8月号
❝そうよ…さぁ開放するのだわ…溢れんばかりの思春期の欲求を!❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年8月号』.芳文社.83頁)
公園に片隅に落ちてるアノ雑誌は、妖怪のシワザだった!?女子中学生の襟元ナオ(えりもと なお)はある日、公園に落ちていたいかがわしい本を拾ったことをきっかけに、路上に成人向け雑誌などを置いて少年少女たちの反応を楽しむという妖怪「春撒き娘」に出会う。
電子書籍の普及、コンビニからの撤去など、様々な要因により近年見る機会のめっきり減った「公園や路上に放置された成人向け雑誌」を描いた作品です。こんな時代もあったとノスタルジックな気分に浸っていましたが、冷静に考えると現実では生身の人間が故意に置いているものだと思うとゾッとしますね。こちらでも妖怪の仕業であって欲しかったものです。
主な登場人物:襟元ナオ、春撒き娘
『くれいじーラボラトリー』(著者:ホリ)
掲載ホリ2011年8月号・9月号・12月号、2012年5月号
❝ま…まっぱの幼女が!!どゆことなの⁉❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年8月号』.芳文社.144頁)
ある日、科学のハカセは、実験中の不手際で試験薬「ギ・ジーンカーX」を同僚なつみの愛犬であるまっくすにかけてしまう。立ち込める煙の中から現れたのは、犬耳の少女に変身したまっくすであった。まっくすとラボの愉快な仲間たちが送るドタバタな日常を描いた作品。
まっくすの陰に隠れがちですが、しれっと「アンドロイド」のマキシマがいるなど、タイトルに恥じない異常な研究所です。また、犬の知能は、人間の2~3歳児程度だといわれていますが、それを反映してか、まっくすも天真爛漫で活発な少女として描かれており、幼い外見も相まって非常に愛くるしいです。
主な登場人物:まっくす、なつみ、ハカセ、マキシマ
『遮莫‐それならそれで、しかたがない‐』(著者:IMO)
掲載号:2011年8月号
❝ありゃー今回の新連載10週打ち切りだねこりゃ❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年8月号』.芳文社.151頁)
学園の平和を守る組織「School Guardian Circle」通称、SGCに所属する少女たちの活躍を描いた作品。
上記の台詞から始まった本作品ですが、主人公たちによって矢継ぎ早に繰り出される、後出し気味な特技披露での台詞回しやテンポ感から漂う打ち切り臭が印象的です。実際、10週どころか1話で幕を閉じた訳ですが、やはり、赤瀬よぐ氏と並び良くも悪くも期待を裏切りません。
それにしても副題の「それならそれで、しかたがない」は、何に対しての諦観なのでしょうか。
主な登場人物:ほの、モモ、レッド、翠(みどり)、火墨(ほずみ)
『隣のあるの。』(著者:連)
掲載号:2011年10月号・11月号・12月号
❝今日からこの姫城土あるの 佑君を全力でお守りするのです❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年10月号』.芳文社.81頁)
少々天然気味な女子高生、姫城土あるの(ひめきど あるの)の家に、幼少期に引っ越しで別れた幼馴染の二ノ宮佑二が住むことに。弱虫だった佑二を守ると意気込むあるのであったが、久しぶりに再会した佑二は立派な好青年になっていた。あるの一家と佑二が送る心温まる日常を描いた作品です。
一途なあるのと優男の佑二、屋根の下で共に暮らす幼馴染である二人の絶妙な距離感がなんともくすぐったいです。
主な登場人物:姫城土あるの、二ノ宮佑二、節(みさお)
『サンタとトナカイが、小学生で。』(著者:あんねこ)
掲載号:2011年10月号、2012年1月号・2月号
❝サンタとトナカイがこの夏の時期に何をしているかって? いいだろう教えてやる!❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年10月号』.芳文社.141頁)
季節は夏、人里で小学生に変身しているトナカイ、戸中井由智乃(となかい ゆちの)とサンタの三田木香歩子(みたぎ かぼこ)は困っていた。何を隠そう去年のクリスマスプレゼントをまだ配り終えていないのである。これは2人の少女がクリスマスプレゼントを全て配り終えるべく奮闘する様子を描いた物語。
各話ごとに未配達の顧客へ一人ずつプレゼントを届ける1話完結形式。プレゼントの配達が完了するたびに、欄外の登場人物紹介にて配達済み顧客としてリストアップされていくアイデアは面白いと思いましたが、連載が続いていた場合はどうするつもりだったのでしょうか。
主な登場人物:戸中井由智乃、三田木香歩子、中川なずな(なかがわ なずな)、岬(みさき)、ひな
『ぶらっくろにくる』(著者:むらたたいち)
掲載号:2011年11月号
❝朝だってのにかわいい顔が夕日みたいに真っ赤だぜ?❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年11月号』.芳文社.83頁)
幼さの残る女子高生、青桐すずが恋をしたのは重度の中二病?である玄野黒須(くろの くろす)であった。上記のくさい台詞も彼が発したもので、学校でも悪い意味で有名人の彼ですが、どんな人間にも理解者はいるものなんですね。
最終的に黒須は中学時代の設定を捨てるタイミングを見失っただけの健全な男子高校生だったことが判明します。ここから、恋に盲目な少女と元中二病男子の奇跡の噛み合いが織りなす、甘酸っぱい青春物語が展開されるのかという所で残念ながら物語は幕を閉じます。
本作品は、2012年に発行された『まんがタイムきららカリノ vol.1』にも収録されています。大まかな設定などは変わりありませんが、こちらはストーリー漫画になっています。
主な登場人物:青桐すず、玄野黒須、黄崎遥香、赤城優一
『サマーデイズ』(著者:さかな45)
掲載号:2011年11月号・12月号
❝わたしのまきとの一年計画はどうなるんだあ❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年11月号』.芳文社.115頁)
夏休みを直前に控えた二人の少女、佐藤あゆむとまき。まきと過ごす夏に思いを馳せるあゆむであったが、突如まきの口から引っ越しが決まったことが告げられる。動揺するあゆむであったが、せめてもの思い出づくりにと「一年計画」を進めていくのであった。
2人の少女の一度だけの夏を描いた『secret base〜君がくれたもの〜』(作詞・作曲:町田 紀彦)でも似合いそうな儚い物語かと思いきや、引っ越し先は近所だったというオチでした。連載が決まれば結末も違ったものになっていたのでしょうか。
主な登場人物:佐藤あゆむ、まき
『あいすき‐浮世絵の恋‐』(著者:青田めい)
掲載号:2011年12月号
❝どうして入ってくる仕事はみんな萌え系美少女イラストなんだああぁ!!!❞
(引用/『まんがタイムきらら2011年11月号』.芳文社.117頁)
16歳の少女笹原ほたる(ささはら ほたる)は、日本画家を志す漆山に一目惚れをして以来、彼に無理を言って住み込みで家事手伝いをすることに。お喋りでしつこい彼女の優しさに素直になれず毒づいてしまう漆山と、何と罵られようが彼に付いていくことを辞めない一途なほたるが送るハートフルな日常を描いた作品です。
青田めい氏の丸みを帯びた温かみのある特徴的な絵と、和服に身を包んだ登場人物によって昔ながらの日本家屋の雰囲気を見事に表現しています。
因みに本作品はまんがタイムきららMAX2012年6月号・7月号にも掲載されています。
主な登場人物:漆山、笹原ほたる
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