作品紹介(きらら本誌)

【ゲスト作品紹介】まんがタイムきららキャラット編(2012~2013)

惜しくも連載に届かなかった「ゲスト作品」、今となっては読む手段も非常に限られ、読者の記憶から忘れ去られるのを待つ一方となってしまいましたが、今に続くきららの長い歴史の礎となった彼らの存在を風化させないためにも、私の知っている範囲で作品を簡単に紹介していきたいと思います。

※更新は不定期になります。連載作品のゲスト回は対象ではありません。

  1. 2012年1月号~
      1. 『ひよなの脳内』(著者:赤瀬よぐ)
      2. 『タイムパッセージ』(著者:やまだとろぴー)
      3. 『ナセナル』(著者:コバシコ)
      4. 『地球の休日』(著者:oh)
      5. 『スマイルショット』(著者:ATARU)
      6. 『IQにとりりおん』(著者:なんにゃか)
      7. 『わたしのおねえちゃん』(著者:gum)
      8. 『まるごとフルコース!』(著者:クロサワ)
      9. 『ベイビードール』(著者:あまか)
      10. 『コズミックレンズ』(著者:えむけー)
      11. 『どくのぬまち』(著者:あたげ)
      12. 『ボドゲde遊ぶよ!!』(著者:赤瀬よぐ)
      13. 『としょコミュ』(著者:Pikazo)
      14. 『ふかふかの大地』(著者:なんにゃか)
      15. 『あヴぁんぎゃるず!』(著者:あたげ)
      16. 『もぐもぐドロップ』(著者:nyanya)
      17. 『スマイル★フェイス』(著者:kakao)
      18. 『さいけん。』(著者:シヴァ)
  2. 2013年1月号~
      1. 『はたらけNGがーる』(著者:kakao)
      2. 『まこころアシスト』(著者:モフ)
      3. 『ふわふわパティスリー』(著者:甘党)
      4. 『放課後レシピ』(著者:K子)
      5. 『ひよこのいぬまにっ』(著者:綾杉つばき)
      6. 『すぷりんと!』(著者:未来電機)
      7. 『ゆきんこ*』(著者:はねこと)
      8. 『それでも私は耕したい。』(著者:かにかま)
      9. 『すくーる・くえすと!』(著者:古都はいぢ)
      10. 『いろはステーション』(著者:アルデヒド)
      11. 『ひふみよ』(著者:まさゆ)
      12. 『しずくマリアージュ!』(著者:柏木香乃)
      13. 『魔女と森とレストランで』(著者:赤瀬よぐ)
      14. 『時計じかけのミュージアム』(著者:シヴァ)
      15. 『まごとじG』(著者:たなかともき)
      16. 『ましろなでしこ』(著者:nisson)

2012年1月号~

『ひよなの脳内』(著者:赤瀬よぐ)

掲載号:2012年1月号
❝ここは ひよなの脳内❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年1月号』.芳文社.199頁)

タイトルの通り主人公、ひよなの脳内世界を描いた作品。自分の脳内なので発想次第でヒマワリが咲いたり、家が建ったりと自由な世界です。如何せん作風がシュール過ぎてこれ以上の説明のしようがありませんが、著者自ら作品をSNSに公開しているので気になる方はそちらを一読してみてはいかがでしょうか。

主な登場人物:ひよな

『タイムパッセージ』(著者:やまだとろぴー)

掲載号:2012年2月号
❝ああ フタミ…私はフタミのことを考えただけで❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年2月号』.芳文社.67頁)

貿易商を営む父の都合で日本に滞在する生粋のスペイン人であるパルケは、街中で男性に口説かれていたところを女子学生のフタミに助けてもらったことをきっかけに彼女に一途な愛を向けるようになる。

パルケの小動物的な愛らしさと常にぬいぐるみを抱えたあざといビジュアルが個人的に好みです。因みにパルケはスペイン語で「公園」の意味。

主な登場人物:パルケ、フタミ

『ナセナル』(著者:コバシコ)

掲載号:2012年2月号・3月号・4月号・5月号
❝幻覚じゃなかった――ッ!! 家の前でお茶作ってるよ―!!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年2月号』.芳文社.118頁)

夏休みのある日、普通の女子高生である奈々瀬美伊子(ななせ みいこ)の元にカナダ人の少女、ナル・カーシュナ―がホームステイにやって来たという物語。

檜風呂や盆栽がどの家庭にもあると思っている、ことわざや文化の誤った解釈など異文化交流モノの定番を押さえた第1話でした。忍者のコスプレに大仏の面をつけ美伊子の自宅前で茶を入れるというナルの衝撃的な初登場の仕方からハイテンションコメディ系なのかと思いましたが、第1話以降は落ち着いた作風に。

作中で美伊子はナルの容姿について「青空のように奇麗な瞳 サラサラのブロンドヘアー」と言及しています。設定やビジュアル面で同時期にまんがタイムきららMAXで連載していた『きんいろモザイク』(著者:原悠衣)との類似点が多かったことが連載に踏み切れなかった要因でしょうか。

主な登場人物:奈々瀬美伊子、ナル・カーシュナ―、相葉ケイ(あいば けい)

『地球の休日』(著者:oh)

掲載号:2012年2月号・3月号・4月号・8月号
❝何か問題があった時にはこうやってベランダにでて地球を感じます❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年2月号』.芳文社.155頁)

両親の転勤により二人暮らしをすることになった藤田姉妹とその友人たちが送る日常を描いた作品。4月号までの3話間では、引っ越し先の古い家屋での出来事を話の中心に据えていましたが、間の空いた8月号では王道の学園モノにシフトチェンジ。センターカラーで掲載された第3話には「古い家だけど毎日新しい発見があって楽しいです」という一文もあっただけに意外な展開でした。

家内の出来事だけではネタに限りがあると踏んだのか、はたまたアンケートの意見を反映した結果なのかは分かりませんが、第1話以降触れられることのなかった主人公のゾウが好きという設定も含め、こういった路線変更の跡が垣間見えるのがファンとしては面白かったりします。

主な登場人物:藤田琴弥(ふじた ことみ)、藤田海(ふじた うみ)、鮫沢菜月(さめざわ はづき)、鮫沢時雨(さめざわ しぐれ)

『スマイルショット』(著者:ATARU)

掲載号:2012年2月号・3月号・5月号
❝もっと自分の心を読んでー 心でシャッターを押すんだ!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年2月号』.芳文社.168頁)

写真部に所属する3人の少女達の日常を描いた作品。専門用語や細かいテクニックの登場頻度は少なく、あくまで少女たちの学校生活がメインでその一部にカメラがそっと添えられているという印象です。

わずか3話の間で「後輩部員のゆかりが先輩のちかに告白、カップル誕生」「コンテストを前に被写体の選定に難儀するも、部員の自然体な表情に答えを見出してタイトル回収」という、連載作品の物語終盤によく見られる展開を密に詰め込んだ濃厚な3話になっています。第2話で突然季節が冬になるあたり、連載されれば後半に掲載するはずだった話を繰り上げて掲載したのでしょうか。

主な登場人物:ゆかり、えま、ちか

『IQにとりりおん』(著者:なんにゃか)

掲載号:2012年3月号・4月号・5月号・6月号
❝みかさんは凄いのよー なんとIQ二兆の天才少女!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年3月号』.芳文社.155頁)

高校二年生の始業式、平凡な女子高生の坂名ぐりる(さかな ぐりる)のクラスにIQ二兆の天才少女である小達みかん(こたつ みかん)が転校してきたという物語。二兆という出鱈目な数値にまず驚きますが、高すぎるIQの設定を著者も持て余したのか、作中でその才能が生かされる描写は少なく、少々クールな少女という枠に落ち着いています。「賢者は聞き、愚者は語る」というやつなのでしょうか。因みに二人は同じ寮で生活しており下宿ライフ要素も兼ね備えています。

主な登場人物:坂名ぐりる、小達みかん

『わたしのおねえちゃん』(著者:gum)

掲載号:2012年4月号・5月号・6月号
❝なんでとなりの部屋の私が起きてるの…❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年4月号』.芳文社.117頁)

仲睦まじい姉妹の日常を描いた作品。姉妹を主役にした作品で、片方をツンデレにしたりせずに真っ当に仲の良い姉妹を描いているのは少々珍しいように感じます。5月号(3月28日発売)では花見、6月号(4月28日発売)では母の日など、発売月を意識したエピソードが多いことが特徴です。

登場人物:みどり、光

『まるごとフルコース!』(著者:クロサワ)

掲載号:2012年4月号・5月号・6月号
❝うん前に話した料理研究会 今日が初めての活動なんだっ!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年4月号』.芳文社.134頁)

姫鶴高校料理研究会に所属する少女たちの学校生活での日常を描いた作品。学校の調理室に当然のように「生け簀」があることに驚き、学校名の雰囲気からして由緒ある学校なのかと思いきや、第2話では卵焼き、第3話ではタコ焼きと、随分と庶民的な料理を披露してくれました。このかに密かな想いを寄せるりこが早とちりから空回る様子がお約束展開になっていますが、彼女の素直になれない乙女らしさがなんとも愛おしいです。

登場人物:このか、りこ、てまり、ユッキー

『ベイビードール』(著者:あまか)

掲載号:2012年7月号
❝私は単に由奈ハァハァってなるくらい妹が好きなだけよ❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年7月号』.芳文社.53頁)

シスコン気味の姉、真奈とその妹の由奈が送る日常を描いた作品。他の園児からも警戒される真奈の異常性と、言葉遣いを始め幼稚園児ながらにしっかりしている由奈の対比が印象的。片方が駄目だともう片方がしっかり者になるのは漫画でも現実でもあるあるですね。

登場人物:真奈、由奈、結衣

『コズミックレンズ』(著者:えむけー)

掲載号:2012年7月号・8月号
❝UFOの下歩いていたら落ちていた❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年7月号』.芳文社.169頁)

新しい街に引っ越してきた主人公、空はある日、頭頂部の髪を自在に操る不思議な少女レンズと出会う。町の中央に堂々と鎮座するUFOとそれを不思議と思わない地域住民、微妙に成り立っていない会話など全体的に独特の雰囲気が流れています。作中の空と同様に目の前の事象に困惑している内に物語は幕を閉じます。

主な登場人物:空、レンズ

『どくのぬまち』(著者:あたげ)

掲載号:2012年7月号
❝つまりお兄ちゃんがはやく就職すれば普通の生活ができるってことなんだよ❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年7月号』.芳文社.204頁)

生活に困窮する兄妹の日常を描いた作品。上記の台詞の通り兄はニートなわけですが、この台詞を吐いた妹も不登校気味と、緩い作風で誤魔化されていますが中々に闇の深い作品。因みに主な登場人物に記述したリンゴは上記二人とは別の末っ子のことで兄と姉の名前は判明していません。

主な登場人物:リンゴ

『ボドゲde遊ぶよ!!』(著者:赤瀬よぐ)

掲載号:2012年8月号・9月号・11月号
❝ボドゲとは… アナログボードゲームのことである!!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年8月号』.芳文社.52頁)

ボードゲーム好きな3人の少女たちを描いた作品。取り敢えず突っ込むリオ、理詰めで戦うアミ、世界観に浸るツホと、分かりやすいキャラクターの割り振りが好印象です。ボドゲの造詣があるリオとツホの使用する専門用語に対して、アミが理解ができないと読者目線でツッコミを入れるのがお約束ですが、結局分かったのはルール説明を「インスト」と呼ぶことだけでした。

この記事でも何度か紹介したゲスト掲載常連の赤瀬よぐ氏、これまで手を変え品を変え掲載を続けてきた氏ですが、元々の趣味だったのか、この作品がきっかけになったのか、現在ではボードゲームデザイナーをされているそうです。

主な登場人物:リオ、アミ、ツホ

『としょコミュ』(著者:Pikazo)

掲載号:2012年9月号・11月号・12月号
❝かめさん…っ一生懸命歩いているのに… うさぎさんがビューって…かめさん可哀想…!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年9月号』.芳文社.117頁)

学校の図書委員会に所属する少女たちの学校生活を描いた作品。童話を愛読する小動物系主人公ヒナタや人知れず百合文学を嗜む委員長の平麻美咲など、愛読する本のジャンルで上手くキャラ付けされています。密かにしたためていた自作百合小説が会員に酷評された挙句に著者本人だとバレるあるあるエピソードなど委員長のキャラが特に立っていて好きです。

主な登場人物:紅木ヒナタ、かなこ、平麻美咲、紅木サラ

『ふかふかの大地』(著者:なんにゃか)

掲載号:2012年9月号・10月号
❝風に揺れる野菜たちの 気分になっていただけさ❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年9月号』.芳文社.135頁)

農業部に所属する少女たちの学校生活を描いた作品。氏の特徴であるディフォルメの利いた温かみのあるキャラクターデザインと菜園のゆったりとした雰囲気がマッチしています。部で収穫したキュウリの美味しさに感動して入部を決める王道の導入に始まり、会話や物語の展開のテンポ、解説の頻度もゆっくりとした丁度良い塩梅で個人的に好みの作品でしたが、残念ながら2話のみの掲載。

主な登場人物:空野マナ(そらの まな)、水橋エリ(みずはし えり)、土屋モカ(つちや もか)

『あヴぁんぎゃるず!』(著者:あたげ)

掲載号:2012年9月号・12月号
❝現状は供給過多により目の前の物資を消費できない状態です❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年12月号』.芳文社.203頁)

バニーガール、メイド服、猫耳学生服と奇抜な格好をした3人の少女たちの日常を描いた作品。「自由すぎるスペシャルゲスト」の触れ込みは伊達ではなく、無軌道な会話が繰り広げられるフリースタイルな作風。第1話の1コマ目でバニーガールの姿のままで帰宅している登場人物にツッコミを入れている内に物語の展開においていかれます。

第2話にして3人が奇抜な格好をしている理由が同人誌即売会のためだと推測できる場面がありますが、あくまで「推測」の域を出ないのが面白いポイント。タイトルに恥じぬ前衛的な作品です。

『もぐもぐドロップ』(著者:nyanya)

掲載号:2012年10月号・11月号、2013年1月号
❝放課後倒れていた女の子を助けてお礼にと連れてこられたお店は とても変!です❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年11月号』.芳文社.109頁)

ある日の学校帰り、女子高生の倉永あおい(くらなが あおい)は、道端で「糖分切れです。」という看板を首から下げ倒れている少女に出会う。偶然持ち合わせていたクッキーを渡したお礼にと連れてこられた店は、3人の女子高生たちで経営しているスイーツカフェだった。滅茶苦茶な経営とサービスを見かねたあおいはマネージャーとして共に働くことに。

きららとしては定番のお仕事系作品ですが、主人公がマネージャーサイドなのは斬新です。糖分不足になると動けなくなる橘はみ(たちばな はみ)などキャラも立っており3話のみの掲載だったのが惜しまれます。

主な登場人物:倉永あおい、橘はみ、奥住果歩(おくずみ かほ)、奥住瑠奈(おくずみ るな)

『スマイル★フェイス』(著者:kakao)

掲載号:2012年11月号
❝さてさてお待たせしました!! 藤垣すみれのパフォーマンスタイムです!!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年11月号』.芳文社.65頁)

芸人に憧れている女子高生、藤垣すみれはある日、先生結奈(せんじょう)に持ち前の笑顔を見込まれアイドルになることを持ちかけられる。すみれが芸人に憧れる理由の一つに名前をローマ字表記にすると「Sumile」だからだと語るも、直後に友人から正しいスペルは「Smile」だと指摘される場面があるのですが、4コマ目のオチを見るまで成程と納得してしまっていたのが恥ずかしいです。

主な登場人物:藤垣すみれ、美咲、れん、先生結奈

『さいけん。』(著者:シヴァ)

掲載号:2012年12月号、2013年1月号・2月号
❝ここは再建部 部活を再建する部「再建部」だよ❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2012年12月号』.芳文社.110頁)

漫画研究部に入るために叩いた扉の先は、廃部になった部活を再建する部活「再建部」であった。部活モノの中でも一定数存在する「架空の部活」をテーマにした作品ですが、出鱈目なものも多い中、本作品は「廃部となった部を再建部として統合することで部費と設備を与える代わりに学校行事や雑務に従事させ、その間に部の再建を図る」という非常に筋の通った内容で好印象でした。

部員には各々統合される前に所属していた部活があり、再建に躍起になっている者、諦めている者など人それぞれ。部活の数だけエピソードを作れる秀逸な設定なだけに僅か3話のみの掲載となってしまったことが悔やまれます。既に連載しないことが決定していたかのような如何にも最終話という趣がある最後の4コマも哀愁を誘います。多くの部活動を扱うことで却って起用貧乏になってしまったことが連載に踏み切れなかった原因でしょうか。

設定自体は優れているので願わくば、ゲスト掲載時の設定を練り直したことで連載するに至った『スポチャン!』(まんがタイムきららMAX/原作:市川ヒロ、作画:土管)のように、もう一度同じ題材で挑戦してもらいたいものです。

主な登場人物:花城ゆき(はなしろ ゆき)、夏木みなぎ(なつき みなぎ)、佐川ほなみ(さがわ ほなみ)、黒野くるみ(くろの くるみ)

2013年1月号~

『はたらけNGがーる』(著者:kakao)

掲載号:2013年2月号
❝さてと今日もキリキリ働きますか❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年2月号』.芳文社.51頁)

少々おっちょこちょいな女子高生の明星ゆうひ(あけぼし ゆうひ)は、クラスメートのご令嬢いぶきの自家用車を凹ませてしまい、その弁償代を稼ぐため彼女の元でメイドとして働くことになる。

何となく美少女PCゲーム感漂うあらすじ。弁償代を稼ぎに来たのに失敗続きのゆうひをからかいこそすれど咎めたりせず傍に置き続けるいぶきも物好きなものですが、ゆうひがティーセットを運んでいる最中に転倒した際にはその身を案じるほか、スリーサイズまで把握しているなど、只の物好きという訳ではなく彼女に気があることを匂わせる描写が気になります。

主な登場人物:明星ゆうひ、いぶき

『まこころアシスト』(著者:モフ)

掲載号:2013年3月号・5月号
❝あーそういえばみんなには「おたすけ部」って呼ばれてるよ❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年3月号』.芳文社.97頁)

高校に入学するも自分にあった部活を見つけられず焦っていた小坂まこ(こさか まこ)は、友人のともみの所属する「校内活動特別補助部」に活路を見出す。

同記事で紹介した『さいけん。』(著者:シヴァ)で、同じ題材で再挑戦してほしいと言いましたが、まさか来月から始まるとは思っていませんでした。大まかな活動内容は当作品と同じですが、こちらも連載に至ることはありませんでした。部活モノは広く浅く触れるよりある程度の専門性があった方が読者受けが良いのでしょうか。

主な登場人物:小坂まこ、ともみ、深田佳世(ふかだ かよ)、入江千明

『ふわふわパティスリー』(著者:甘党)

掲載号:2013年3月号・4月号・9月号
❝覚えることが色々あって大変だけど… お菓子に囲まれて幸せです❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年3月号』.芳文社.125頁)

高校入学後、友人の菫と共にケーキ屋でアルバイトを始めたなつは、甘いお菓子と個性豊かな先輩に囲まれ充実した日々を送るという物語。言わずと知れた『となりの吸血鬼さん』(KADOKAWA)の著者である甘党氏の作品です。

第1話から登場人物、店の雰囲気をテンポよく説明し、流れるように作品の世界観に引き込む技術は流石といったところです。掲載誌のカラーに合わせた落ち着いた作風、丁寧に描写されたケーキや背景、登場人物もお菓子好きな正統派主人公なつ、なつの友人で女子好きの菫、優しいお姉さん系先輩の苺、女子らしさに憧れるボーイッシュなすぐり、ケーキ一筋の店長れもんなど個性豊かであり、ゲスト作品としてクオリティの高い作品だと感じました。

本作品の約半年後に発表された「となりの吸血鬼さん」の連載化に伴い残念ながら3話で幕を閉じましたが、氏のPIXIV FANBOX支援者限定記事にて第6話まで公開されているほか、当作品の単行本第5巻には第3話までが収録されており、ゲスト作品としては非常に恵まれた扱いを受けています。

私は当作品のファンでもあるため活動の場を移されたことは仕方のなかったことだと思っていますが、きららで活躍する氏の姿も見てみたかったものです。

主な登場人物:榛なつ、菫、苺、すぐり、れもん

『放課後レシピ』(著者:K子)

掲載号:2013年4月号・5月号
❝エンガティナヌストルテとかブラバンダーシュニッテンとかも作ってみたいなと持ってます!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年4月号』.芳文社.107頁)

家庭科部に所属する少女たちの学校生活を描いた作品。家庭科の中でも料理を主題にしているようですが、料理の工程や解説よりも文化系の穏やかな空気感の描写に重きを置いた作風です。主人公である三月れんげ(みつき れんげ)のエプロン姿から漂う圧倒的な新妻感が印象的です。さすが家庭科部部長を務めるだけのことはあります。

因みに上記台詞の「エンガティナヌストルテ」はスイスの伝統菓子、「ブラバンダーシュニッテン」はベルギー周辺国で作られる洋菓子の名称です。

主な登場人物:三月れんげ、姫路くるみ(ひめじ くるみ)、姫路かりん(ひめじ かりん)、佐藤楓

『ひよこのいぬまにっ』(著者:綾杉つばき)

掲載号:2013年4月号・5月号
❝ううー 高校初日だってのについてないよ…❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年4月号』.芳文社.143頁)

不幸体質な主人公、御厨ひよこ(みくりや ひよこ)は、高校初日の朝、通学路で生まれつき病弱であるという少女、光峯微(みつみね かすか)に出会う。数々の不幸に見舞われ初日から遅刻した二人は学級委員長と副学級委員に任命されてしまうのだった。

作風はオーソドックスな日常系ですが、登場人物たちの特異的な体質で個性を出しています。特に微の「病弱なのに健啖家」という非常に欲張りな設定のインパクトが強く、ひよこの不幸体質が若干かすんでしまうほど。

主な登場人物:御厨ひよこ、光峯微、三森泉(みつもり いずみ)、真奈美(まなみ)

『すぷりんと!』(著者:未来電機)

掲載号:2013年5月号・6月号
❝私は一ノ瀬えと花も恥じらう女子高生 しかしその正体は―― その正体は… ただの陸上部のマネージャーです。❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年6月号』.芳文社.143頁)

高校生になり入る部活を決めあぐねていた主人公、一ノ瀬えとはトラックを颯爽と走るすいの凛々しさに惚れ陸上部のマネージャーになることを決意する。きらら作品の部活モノとしては珍しいマネージャーが主人公の物語ですが、メインとなる登場人物には選手も存在し、マネージャーと選手側の両方の視点からバランスよく陸上競技に触れています。雷管を拳銃に見立てるのは誰しも通る道なのでしょうか。

主な登場人物:一ノ瀬えと、すずめ、すい、まいる

『ゆきんこ*』(著者:はねこと)

掲載号:2013年6月号・7月号・8月号
❝雪ってこんなにキレイなんだ…すごいなぁー…❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年6月号』.芳文社.110頁)

雪の降らない地域から北海道の学校へ転校してきた主人公、こゆきとその仲間たちが送る学校生活を描いた作品。作品名の通り「雪」をテーマにした作品ですが、いくら北海道といえども一年を通して雪が降る地域は非常に限られている中、敢えて雪を題材に据えたのは挑戦的です。登場人物の名前が雪にまつわる名前であることからも深いこだわりを感じますが、結果としては惜しくも全3話という淡雪のごとき儚い命でした。

主な登場人物:こゆき、ふゆみ、コーリ、シロ

『それでも私は耕したい。』(著者:かにかま)

掲載号:2013年7月号・9月号・10月号
❝ジョナソン 奇麗になりましょうねー❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年4月号』.芳文社.117頁)

異常なまでに野菜を愛する少女西園寺姫子(さいおんじ ひめこ)が入部した園芸部は、発明家である友人かなみとオタク気質な部長によって摩訶不思議な部へと変貌を遂げていたのだった。奇想天外な発明品に「ギャルゲ畑」など、氏が得意とするハイテンションなコメディが特徴です。変わり者ながらも真っ当に園芸がしたいだけのはずが、他ならぬ園芸部員たちの奇行によって邪魔される姫子が不憫であると同時に愛おしくも感じます。

因みに上記の台詞の「ジョナサン」とはカボチャの種のことです。

主な登場人物:西園寺姫子、かなみ、部長

『すくーる・くえすと!』(著者:古都はいぢ)

掲載号:2013年7月号
❝ボクは世界を救うために選ばれし《勇者》の末裔! 来るべき戦いに備え共に旅する仲間を探している…❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年7月号』.芳文社.145頁)

平凡な女子高生、田中栄子のクラスに突如として転入してきた生徒は自称勇者の末裔だった。逆異世界転生モノかと思いきや、よく読むと上記の台詞を吐いた次のページで「僕が小学生だったころ」と早々に現実世界に住む一般人だったことが判明します。常識に疎そうな雰囲気に芝居がかった台詞を恥ずかしげもなく自然に話す話術にまんまと騙され、読了後もしばらく上記の事実に気が付きませんでした。

結果として変わり者なだけでただの聞き分けの良い素直な少女だった勇美でしたが、それはそれで本誌のカラーにもあっていて良いと思いました。個人的に栄子(えいこ)を村人A(えー)と呼ぶのは単純ですがクスッと笑えて好きです。

主な登場人物:田中栄子、小龍川勇美(こたつがわ いさみ)、城崎姫乃

『いろはステーション』(著者:アルデヒド)

掲載号:2013年8月号・9月号
❝ブスバフガイドバフガスばふはく❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年8月号』.芳文社.143頁)

毎日昼休みに簡単なスピーチをする「広報部」に所属する少女たちの学校生活を描いた作品。本ブログでも紹介した『ニー子はつらいよ』(KADOKAWA)の著者であるアルデヒド氏の作品です。きららでも放送部を題材にした作品はいくつか見られますが、本作品では発声練習や活動日誌など、実際に放送部に所属していたかのような妙に具体的な活動内容が印象的でした。

主な登場人物:りん、まり、れい、よしの

『ひふみよ』(著者:まさゆ)

掲載号:2013年9月
❝うちではおやすみのちゅーするんだー 女の子同士だから問題ないよー❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年9月号』.芳文社.56頁)

寮制の女子高に通う少女たちの学校生活を描いた作品。全体的にスキンシップが多い百合要素の強めな作風です。低めに結んだロングヘアーが尾を振る子犬の様に見える犬系女子のにいこのデザインが可愛らしいです。

主な登場人物:いちか、にいこ、みな、しあ

『しずくマリアージュ!』(著者:柏木香乃)

掲載号:2013年9月号・10月号
❝ありがとおねーちゃん!今日もハルヒコ穫れた!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年9月号』.芳文社.143頁)

男子高校生の晴彦(はるひこ)は、クラスメイトの雪(ゆき)に密かな想いを寄せていたが、そんな彼の想いをよそに彼女の中学生の妹である雫(しずく)に熱烈な愛を向けられることになる。ことあるごとに結婚雑誌を持ち出す恋に盲目な乙女に見える雫ですが、晴彦の姉への気持ちは理解しているようで実らぬ恋と知りながらも積極的にアプローチする姿がなんとも健気です。そしてそんな彼女を放っては置けない晴彦の人の良さも好印象でした。

主な登場人物:晴彦、雪、雫、ヤナディ

『魔女と森とレストランで』(著者:赤瀬よぐ)

掲載号:2013年11月号
❝この美しい森の中に 私は念願の… 自然食レストランを オープンしたのです!!❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年11月号』.芳文社.203頁)

果て無しの樹海エバーフォレストに迷い込んだ家出少女のルイは、森の中で自然食レストランを営むロロと出会うのだった。魔女の様な怪しげな格好をしている上に口下手なロロのせいで終始会話がすれ違ったままでしたが、そんなことよりもロロが包丁の刃先をずっと正面に向けていることが気になって仕方がありませんでした。これではルイが怯えるのも無理はありません。

主な登場人物:ルイ、ロロ

『時計じかけのミュージアム』(著者:シヴァ)

掲載号:2013年12月号・1月
❝えー!! 資料館が閉鎖しちゃう⁉❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年12月号』.芳文社.109頁)

高度にデジタル化した近未来の学校を舞台に、アナログ情報の保存を目的とした施設「資料館」とそこに所属する資料委員たちの学校生活を描いた作品。前作の『さいけん。』に続き既存作品の枠にとらわれない独自性のあるストーリ設定が魅力です。

館内の資料が管理しきれなくなったことで、生徒会から館の閉鎖を通達されるところから物語が始まるのですが、整理すればいいと言う先輩委員の至極真っ当な意見に対して、聞いてもいない紙媒体の良さを熱弁する主人公の本の虫っぷりが印象的です。また、デジタル化が進んでも変わることのないモノに込められた想いなどメッセージ性も感じられます。

主な登場人物:よみ、ゆり、れい、せつな

『まごとじG』(著者:たなかともき)

掲載号:2013年12月号、2014年1月号・4月号
❝ハズレじゃ…わしは女でもなければ子でもないぞ❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年12月号』.芳文社.144頁)

海外で働く両親から祖父の元へ預けられ神社の跡取りとして育てられている古野宮あさひ(このみや あさひ)は、ある日、祖父が大切にしていた時計を壊してしまう。厳しい祖父にバレてしまう前に修理しようと駆け込んだのは、老人語を話す怪しげな少女?が営む機械式時計専門店「幾巧堂(きこうどう)」であった。

作品名の通り一見すると幼い少女に見える幾巧堂の店主、臥雲江陸(がうん えりく)は正真正銘の男性老人。文字に起こすなら「のじゃロリジジィ」といったところでしょうか、キャラ属性の渋滞でしばらく物語の内容が頭に入ってきませんでしたが、時計店の古風な雰囲気と現代的なキャラ属性の登場人物が調和した独特の世界観に魅了されました。

惜しくもきららでは3話のみの掲載となってしまいましたが、その後「ジャンプルーキー!」にて36話まで公開されているほか、氏のPIXIV FANBOXでは支援者限定記事にて、本作品の前身となる同人作品『ロリジジイ4コマ』『新ロリジジイ漫画』シリーズを読むことができます。ジャンプルーキー!にて公開されているものは4コマ漫画ではなくストーリー漫画になっており、きらら掲載時には知ることのできなかったあさひの家出の経緯などが詳しく描かれています。もともとストーリー性の高い作品なこともあり個人的にはこちらの方が読みやすいと感じました。

余談ですが、ジャンプルーキー!では2018年4月期の月刊ルーキー賞の最終候補作にも選ばれています。

主な登場人物:古野宮あさひ、臥雲江陸、石動五十鈴(いするぎ いすず)

『ましろなでしこ』(著者:nisson)

掲載号:2013年12月号、2014年1月号
❝この子達となら今年のなでしこコンテストはきっと…❞
(引用/『まんがタイムきららキャラット2013年12月号』.芳文社.144頁)

強く、美しく、優雅、そんな大和撫子を目指す少女たちの日常を描いた作品。作中には「なでしこコンテスト」なるものがあるようですが、全国各地で猛者たちが鎬を削る厳しい世界なのかと思いきや「校内約50名の中から選出」と、非常に小規模なコンテストで驚きました。全2話のため、この作品で言う大和撫子に求められる資質や素養が一体何なのか分からぬまま幕を閉じてしまったのが残念です。

主な登場人物:妹尾佳奈(せのお かな)、杏(きょう)、エリス、衣奈(いな)

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