惜しくも連載に届かなかった「ゲスト作品」、今となっては読む手段も非常に限られ、読者の記憶から忘れ去られるのを待つ一方となってしまいましたが、今に続くきららの長い歴史を支えてきた彼らの存在を風化させないためにも、私の知っている範囲で作品を簡単に紹介していきたいと思います。
※更新は不定期になります。連載作品のゲスト回は対象ではありません。
- 2013年1月号~
- 『Eイズム-escapism girls-』(著者:ちょこらて)
- 『メイドなボクとお嬢さま的あるじ』(著者:さくらいす)
- 『夢色シンパシー』(著者:かるは)
- 『おふとんランデブー』(著者:むうりあん)
- 『青空』(原作:石見夕、作画:よしだひでゆき)
- 『おゆうぎ小町』(著者:ねこみんと)
- 『暖色タイム』(原作:石見夕、作画:よしだひでき)
- 『らくれすがーる。』(著者:コウジ)
- 『ラスボス兄貴‼』(著者:masha)
- 『こばとスマイル』(著者:桐ヶ谷ユウジ)
- 『Lスイッチ』(原作:石見夕、作画:よしだひでゆき)
- 『ジンジャーにゃん』(著者:ねこみんと)
- 『ゆき×はる』(著者:矢澤おけ)
- 『まひるのヒツジ』(著者:てるうぃ)
- 『ブラックスターガールズ』(著者:オガデンモン)
- 『流星ガールフレンド』(著者:ミヤコヒト)
- 『ちとせ中トゥルーパーズ』(著者:むうりあん)
- 『シロクロコミュニティ』(原作:石見夕、作画:よしだひでゆき)
- 『まんなかノート』(著者:ゆめ)
- 『女子高生に校則なんてない!』(著者:ミヤコヒト)
- 『ひみつのふたりぐらし』(著者:かるは)
- 『大正幻想奇譚あやかしちらり』(著者:ちろり)
2013年1月号~
『Eイズム-escapism girls-』(著者:ちょこらて)
掲載号:2013年1月号~3月号
❝現実逃避とは 現実と向き合わずに逃げる事である それは時に現実的であり 妄想的であり 病的だ❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年1月号』.芳文社.119頁)
「逃げる」コマンド連打でもいいじゃない、女の子だもん。そんな現実逃避系女子達、登場‼(本誌欄外より抜擢)
メルヘン電波系少女の花園野乃香(はなぞの ののか)、IQ一兆の探偵家気どり葛城秋姫(かつらぎ あき)、おっとり冷え性の清水奈々海(しみず ななみ)、一癖も二癖もある彼女たちは、まるで何かに導かれるように学校の屋上へと集うのだった。
『空の下屋根の中』(双見酔)、「またぞろ。」(幌田)など、いつの時代にも一定数存在する生きづらさを抱える少女たちを描く社会派きららの系譜……と思いきや、危機感や悲壮感と言ったものをほとんど感じさせない至って穏やかな作風が特徴。
屋上でお菓子食べたり、生徒会に襲撃されたり、文化祭の準備をしたりと普通に青春(現実逃避)を満喫している。連載が続けば、各々が自身の心の弱さと向き合う……みたいなシリアス方面に舵を切る展開もあったかも知れない。
ぬいぐるみを片時も離さない野乃香や探偵風コーデの秋姫、羽織のように布団を着こなす(?)奈々海などビジュアル面に優れており、3話と言う短さに反して意外と印象に残っていたりする。記事内では絵を直接掲載することはできないが、著者のpixiv等でキャラデザの一部を見ることができるので興味のある方はぜひ。
屋上に集う少女たち、やたらハイスペックな仲間、謎の強権力を誇る生徒会……など、平成学園モノの風を節々に感じる作品でもある。特に秋姫は、筆者が秘かに企画している「きららIQランキング」にランクインしうる逸材なので覚えておきたい。
余談だが、第1話の編集者からのコメントは「現実から逃げたい人は、感想をどうぞ。」である。どうぞ、じゃない。こんなにコメントに困る欄外も中々ない。
主な登場人物:花園野乃香、葛城秋姫、清水奈々海、多々良凛子(たたら りんこ)
『メイドなボクとお嬢さま的あるじ』(著者:さくらいす)
掲載号:2013年1月号~3月号
❝この二人の関係は― 果たして百合なのかBLなのか⁉❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年2月号』.芳文社.183頁)
舞台は、メイド養成女学校である聖メイド女学院。龍園寺財閥の跡継ぎでありながら女として育てられた大の男嫌いの龍園寺寧桜(りゅうおんじ ねお)、そして、そんな彼女(彼?)の元で仕えたいと性別を飛び越えメイドになった男子山田久遠とその仲間たちが送る百合?BL?コメディ。
要するに女装男子によるBLだが、そこにNLまで混ざってくるので情報が渋滞気味。久遠が寧桜に男として惚れているのか女として惚れているのか明言されていないのもそれに拍車をかける。メイドもの日常コメディ路線を目指していたのだろうが、初読では、誰が男で女で、百合なのかBLなのかなんて考えているうちに物語が終わってしまう。これも著者の狙いだったのだろうか。
何気に「ツンデレツインテロリっ子メイド」「久遠と寧桜の秘密を知っている」「男である久遠に秘かな想いを寄せている」など、属性と設定の過剰積載になっている苦労人の数奇屋みい(すきや みい)が印象的……というか普通に主人公より目立っている気がする。
他のメンツが濃すぎて学園内で“帯刀”してたり肩に黒うさぎを連れているのにほとんど言及されない、あるいは言及する余裕がなかったと思われる加賀成剣(かがなり つるぎ)が個人的にお気に入り。
因みに著者は、「吉北ぽぷり」というPNでも活動しており、後に同誌で『また教室で』を連載することになる。
主な登場人物:山田久遠、数奇屋みい、加賀成剣、龍園寺寧桜、久々宮和(くぐみや なごみ)
『夢色シンパシー』(著者:かるは)
掲載号:2013年2月号~4月号
❝昼間のハルヤと今のわたし どっちが本当のわたしだと思う?❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年2月号』.芳文社.118頁)
夢見がちな天然少女篠原媛(しのはら ひめ)は、地味だった高校生までの自分に見切りをつけ大学デビューしようと張り切るも初日から失敗続き。偶然知り合った東城ななお(とうじょう ななお)、百瀬華弥(ももせ はるや)と何とか友達になることができたその日の夜、夢で再会した二人は何だか昼間と違った様子で……“夢”をめぐる不思議な大学生活が始まる。
「夢」がテーマのキャンパスライフ物語。夢の中では普段抑えられている無意識の願望が表面化するようで、明るいななおはクールに、おっとり天然系の華弥はツンデレになってしまうなど、登場人物の少なさを二面性で補う工夫が光る。夢での出来事は3人の間である程度共有しているようで、これからその謎を解き明かそう‼……というところで残念ながら物語は幕を閉じてしまった。
主人公の媛だけ性格に大きな変化がない事や、普段つけている夢日記が大きな伏線になっていたのかもしれないが真相は闇の中へ……。物語の設定自体は面白いと思うが、導入に時間をかけすぎたのがマズかったか。実際ここからの展開はどういったものを目指していたのだろうか。夢で出会う方法が確立され、大学で出会う様々な友人たちの二面性を解き明かしながら現実と向き合うヒューマンドラマ的な路線もあったかもしれない。
主な登場人物:篠原媛、東城ななお、百瀬華弥
『おふとんランデブー』(著者:むうりあん)
掲載号:2013年2月号・5月号・6月号
❝でも不思議な部だね部員のおうちにお泊りするだけの部活なんて❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年2月号』.芳文社.131頁)
部員の家に泊まってだらだら過ごす部活「お泊り部」そんな不思議な部活に所属する4人の少女たちの日常を描いた作品。いつの時代にも存在する謎部活動モノの系譜、一応主人公であるかなえが友達を作るために設立されたものらしいがそんな設定は気にしなくて大丈夫。
「よくこんな部活の申請が通ったな」なんて指摘は野暮。氏の持ち味が存分に発揮された幼くて丸みを帯びた愛らしい少女たちが、下らないことで盛り上がったり、イチャコラするのを深く考えずただ眺めていればいい……そんな作品。ストーリー仕立ての作品が多いミラクの箸休め的な存在。
因みに氏の作品の特徴である物語とは関係なくそこかしこに現れる動物たちはこの作品でも見られます。
主な登場人物:かなえ、小糸、あずみ、さかき
『青空』(原作:石見夕、作画:よしだひでゆき)
掲載号:2013年2月号
❝青空荘へようこそ!❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年2月号』.芳文社.180頁)
アパートに住む学生の七海と個性豊かな仲間たちが送るドタバタコメディ‼……多分そんな感じ……きっとそう……。どうしてこんなに歯切れが悪いかと言うと、それくらい情報が薄~いからである。
爽やかな朝の訪れとともに目を覚ます七海、そこへ次から次へと個性豊かな友人(?)が現れて、いよいよ何か始まるかと思った次の瞬間……全員揃って「青空荘へようこそ!」と、いかにも最終回というコマで物語は唐突に幕を閉じてしまう。
「ようこそ!」じゃない、我々読者はその敷居をまたぐことすら許されなかった……。
パワポで5秒で作れそうなタイトルデザイン、もはや皮肉にしか聞こえない欄外の「アルティメットゲスト」、時代を感じる唐突なジョ○○ネタ……そんな哀愁漂う作品。
……色々言ってしまったが、本作品のような初めから連載を想定していないようなゲスト作品は決して珍しくない。編集者との間でどのようなやり取りがあってこの作品が掲載されるに至ったかは分からないが、この原作者もいつの日か広い青空に羽ばたいて行けるような人物になってほしいなんて……。
主な登場人物:七海、涼子(りょうこ)、メア、琳子(りんこ)、犬嶋京子(きょうこ)、平田
『おゆうぎ小町』(著者:ねこみんと)
掲載号:2013年3月号~5月号
❝あーあたしたちは 遊部の活動だよ❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年3月号』.芳文社.146頁)
おっちょこちょいで不器用な少女、紫苑麻衣子(しおん まいこ)は、部活選びに困っていた。ある日、下校中に山中へ一人で入っていく少女を見かけ、好奇心から追いかけた先で怪しげな廃墟(?)を見つけてしまう。そこは、古今東西の遊びを実践する部活「遊部」の拠点なのだった。女の子×お遊戯コメディ開幕‼
「遊戯」がテーマの部活動モノ。作中では古今東西の遊びを実践すると紹介されている通り、鬼ごっこ、けいどろ、めんこなど、今でも通じるものから廃れてしまったものまで様々な遊びが紹介されている。ローカルルールや呼称の地域差など少々マニアックな話題にも触れており雑学チックな一面も。因みに皆さんは、「ドロケイ」でしたか「けいどろ」でしたか、それとも「たんてい」?筆者の地域は「けいどろ」が主流でした。
第1話のきらら部活モノのお手本のような導入が印象的で「自分に合ったものが見つからず悩む主人公➡偶然見つけた変な部活に活路を見出す➡遊部の入部試験としてかくれんぼを提案される➡最後の一人見つからず焦る主人公➡偶然も味方し見事勝利、ようこそ遊部へ‼」
……と、ここまでの流れを非常にテンポよく書き上げ、麻衣子が部活動にこだわる理由など、登場人物のキャラクター像も掘り下げながら1話に見事にまとめ上げられている。きららでよくある学校非公認のフリーダムな部活だが、幼稚園の先生になるために色んな遊びを知りたいという麻衣子が入部したことで、部の方針が定まったのは良い塩梅だと思う。
掲載された3話のうち2話がセンターカラーと、ゲスト作品としてはかなりの好待遇だったが、惜しくも連載には届かなかった。遊部は、古今東西の遊びを実践するという部活だったが、作中では遊びのルールやトリビアの紹介よりも、部員同士の掛け合いやコメディに重点を置いていたのが、第1話読了後の期待感と少々ズレていたというのが素直な感想。
後に「美少女×お遊戯コメディ」をテーマにした『あそびあそばせ』(著者:涼川りん)がヒットしたことからも、目の付け所自体は良かったと言えるだけに非常に惜しいと感じた作品。
主な登場人物:紫苑麻衣子、栗栖えりこ、桜狩三葉、石ノ森氷室
『暖色タイム』(原作:石見夕、作画:よしだひでき)
掲載号:2013年4月号~6月号
❝突然ですが同居人ができました ただし相手は幽霊です❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年4月号』.芳文社.129頁)
進学を機にマナベ荘で独り暮らしを始めた、古本好きの文学少女北沢ナタネ。しかし、そこは住人にしか見ることができないという生霊、灰村さんが住み着く曰くつきのアパートだった。Not ホラー、But オカルト⁉幽霊とドキドキ食卓ライフ‼(本誌欄外より抜擢)
異種族同居モノで「鍋」に焦点を当てたグルメ要素も兼ね備えている。タイトルデザインに鍋のマークが描かれていたり、ナタネの住むアパートの名前もマナベ荘だったりと鍋に相当なこだわりがあると思わせて、実は最終話はサンドイッチだったりする。
Not ホラー、But オカルト⁉と紹介されているように、幽霊である灰村の出自など伏線らしきものも散見されるが、グルメや下宿ライフ要素との兼ね合いでオカルト要素は若干控えめ。作品の方向性がどっちつかずになってしまったのが連載に至らなかった原因の一つか。
前作『青空』の気持ちの良いほどの打ち切りっぷりに若干警戒していたが、こちらは3話まで掲載された。ナタネの容姿に前作の七海の面影があったり、下宿ライフという共通点などから、原作者の趣向が垣間見える。
主な登場人物:北沢ナタネ、灰村、桔花=アニューゼ=椎名
『らくれすがーる。』(著者:コウジ)
掲載号:2013年5月号~7月号
❝お母さんは心配性だなぁ もう高校生なんだから大丈ッ⁉❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年5月号』.芳文社.107頁)
高校生の少女、黒峰アコ(くろみね あこ)は、生まれつきの不幸体質。いつもドジを踏んでばかりの彼女だが、そんなアコを幼馴染の城井百合子(しろい ゆりこ)は、邪な目で見つめるのだった。さらにさらに、そんな百合子に秘かな想いを寄せる少女まで現れ……⁉アコ×百合子×キリコどの子を一番応援したい?不運に打ち勝つガールズラブコメディ(本誌欄外より一部抜粋)
おっとりドジっ子アコ ⇦♡ 矢印むっつりスケベで過激派の百合子 ⇦♡ ツンデレ妄想スキーキリコの織り成す乙女たちの熱き戦いを描いたコメディが売りの作品。物語云々よりもキャラ属性を使って話を動かすタイプなのだが、アコの薄幸目隠れ黒髪ロングヘアーという属性が非常に庇護欲を掻き立てるせいで、ぶっちゃけ百合子たちのGLバトルそっちのけで、アコのドジっぷりをただ優しく見守っていたくなる……。
……なんて言ったが、そんなことよりも、突然現れては、人助けのために屋根を駆け回り、自動車を蹴り飛ばすイレギュラー男子、青空太陽(あおぞら たいよう)の存在に触れないわけにはいかないだろう。世界観ブレイカーなうえに、百合を題材にしている以上、どうしても初めは存在自体が鬱陶しかったが、これが中々憎み切れず、内心いつ登場するのかとソワソワしていたが、何と最終話では一切登場しなかった……。
アンケでの評判が芳しくなかったのだろうか、きららにおける男子キャラの扱いの難しさを垣間見た作品だった。
主な登場人物:黒峰アコ、城井百合子、八剣キリコ(はっけん キリコ)、青空太陽
『ラスボス兄貴‼』(著者:masha)
掲載号:2013年7月号~9月号
❝もしまた怒られたらそのときはそんなお兄ちゃん… みんなでやっつけてあげるからさ!❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年7月号』.芳文社.149頁)
ある日の朝、ゲームをこよなく愛する男子高校生、転多木仁(たたらぎ じん)に衝撃が走る。それは、溺愛する妹の転多木あづみ(たたらぎ あずみ)に何と彼氏ができてしまったかだった……。妹を守りたい兄と、友の恋路を守りたいあづみの仲間たち、仁義なき戦いが今、始まろうとしていた……。
ちょっぴり厄介なシスコン兄貴を持つあづみの恋路を中心とした学園群像劇。タイトルでラスボスとまで評される仁だが、実際にはそこまで出張ってくることもなく、縁切りのお守りをわざわざ買ってくるなど男子高校生らしい可愛げのある嫌がらせがメイン。というか、肝心のあずみの彼氏も作中に登場しないため、どちらかと言うとあづみ周りの女子たちによるガールズトークが主軸になっている。
帰りが遅くなるあづみが兄に要らぬ疑いを駆けられぬよう、アリバイ作りを考案する仲間たちなど、爽やかな青春描写が心地よい。なのだな口調でちょっぴり拗らせ系男子の仁もしつこさを感じない良い塩梅で、タイトルの通り“兄貴”として作品に上手く溶け込んでいる。上記できらら男子の扱いの難しさに軽く触れたがこれは上手くいった一例だと思う。
余談だが、本作品で商業誌デビューを果たしたmasha氏は、後に『異種族レビュアーズ』(KADOKAWA、原作:天原)の作画を務めることになる。そちらから知ったファンにとっては、氏がきららで活動していたことは少々意外かもしれない。
主な登場人物:転多木仁、転多木あづみ、昼帯(ひるおび)、久里浜智代(くりはま ちよ)、絢芽(あやめ)、琴子(ことこ)、戸津谷(とつがや)、凹葉(おうば)
『こばとスマイル』(著者:桐ヶ谷ユウジ)
掲載号:2013年7月号・9月号
❝ねぇおねえちゃん また一緒に遊んでもいい…?❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年9月号』.芳文社.192頁)
晴から高校2年生になった少女、綾川りこ(あやかわ りこ)。母を亡くして以来、父と二人暮らしをしていたりこだったが、父の出張中、急遽父の同僚の子供を預かることに。家に一人で居たりこの元にやってきたのは、5歳の幼い少女、大谷こばと(おおたに こばと)だった。
二人の姉妹(?)が送るハートフル4コマ。これと言って大きな特徴があるわけではないが、穏やかで包容力があり、姉と言うより母のようなりこの姿に、亡くなった母の分まで頑張っているのかな?とか考えたり、預かっている以上、この関係にもいつか終わりが来るのか……とか、何となくしんみりしてしまう作品。作品の癖や主張が少ない分、バックグラウンドに想いを馳せ易い……というのは読み切りきららあるある。
主な登場人物:綾川りこ、大谷こばと、滝宮志穂(たきみや しほ)、沖代三咲(おきしろ みさき)
『Lスイッチ』(原作:石見夕、作画:よしだひでゆき)
掲載号:2013年7月号・8月号
❝シスコンからロリコンに進化するつもりかー?❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年8月号』.芳文社.202頁)
男子高校生の大輝の元に突然預けられた従妹の双子、さくらとミドリ。しかし、この双子にはとある「秘密」があって……“M”と“S”を背負って“L”は生まれる…かもしれない⁉SM双子と普通(?)の兄妹が送るちょっぴりイケないドタバタコメディ開幕。(本誌欄外より一部抜粋)
何とこの年3回目の登場となるこのコンビ(因みにもう一回来る)。男子高校生がSM双子幼女とブラコンの妹にひたすら言い寄られるという、前作、前前作の穏やかな下宿ライフモノから一変、作者のフェティシズム全開のかなり際どい作品に……たった数ヶ月の間に一体何が?
コンプラの問題か、Mっ子のさくらは、行為がイメージで済まされることが多く、作中ではひたすらミドリに虐められる主人公を見る羽目になる。こっちはセーフなのか……。挑戦的な作品だったが、紳士たちに惜しまれつつ(多分)2話で終了、読者の“L”スイッチが入る前で助かったかも知れない。
主な登場人物:大輝、さくら、ミドリ、桔梗、向日葵(ひまわり)
『ジンジャーにゃん』(著者:ねこみんと)
掲載号:2013年8月号~10月号
❝これが カミサビだ❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年8月号』.芳文社.93頁)
吉馴尋と安斎響紀は、雨宿りのために訪れた寂れた神社にて「小郷るな」を名乗る喋る謎の猫人形に出会ってしまう。紆余曲折あって町で起こる怪現象の原因である「カミサビ」の存在を知った二人は、るなの力を借りて事件解決に乗り出すのだった。人とものをつなぐハートフル巫女ストーリー。
カミサビとは、物に宿る意思のような存在で、親しい人に忘れられると暴走するというもの。暴走したカミサビを鎮めるには結果以内で大量の偽物が入り混じる中、本物を見つけ出しその記憶を思い出すこと。捕獲時にはるなの力で巫女服に変身するなど、魔法少女的な要素もある(早い話が、和風CCさ○ら)
3話と言う短い期間の中で「不可解な事象発見、カミサビの仕業に違いない!➡るなの力で華麗に変身、いざ勝負!➡明かされる持ち主の秘話、カミサビと和解」という毎話の流れを確立している。カミサビの暴走が増えてきた謎など、伏線張りにも余念がなく、連載への意気込みを感じる。
ストーリー面だけでなく、猫と人間の姿を使い分ける、マスコット兼友人枠のるなや、戦いの際の巫女服への変身要素など、ビジュアル要素にも力を入れている。
創刊時からストーリー要素が薄まり、美少女4コマ成分の割合が増えつつあった当時のミラクの流れに待ったをかけた作品の一つ。設定自体はよく練られており、連載に届かなかったのは少々残念。
主な登場人物:吉馴尋、安斎響紀、小郷るな
『ゆき×はる』(著者:矢澤おけ)
掲載号:2013年8月号~10月号
❝ゆ、雪の妖精のゆきです‼しゅ…趣味はインターネットです‼❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年8月号』.芳文社.108頁)
普通の女子高生、はるるの元にある日突然、雪の妖精(ゆきんこ)を名乗るゆきがやってきた。彼女は、はるるを雪の女王にしてゆきんこ帝国の拡大を目指しているようで……。静かに雪が舞い踊る冬の町。二人に少女の関係は、ちょっと不思議な主従(?)関係⁉(本誌欄外より一部抜擢)
異種族同居要素を兼ね備えた地元復興コメディ。人口減少に歯止めが利かない雪の国を立て直すため人間界にやってきたゆきが駅の伝言板に書き残したメッセージに、偶然はるるが返事を書いてしまったことで素質を見込まれ、女王に即位させられるという物語。
中々ファンタジー要素の強い設定だが、当のゆきんこの趣味がインターネットなだけあって、動画投稿、ご当地ゆるキャラの視察やグッズ販売など、かなりリアルな復興活動になっている。
同年のキャラットでも『ゆきんこ*』(著者:はねこと)という、冬をテーマにしたゲスト作品が存在していたが、両作品に共通して言えるのは、シーズンが終わったらどうするんだ問題。残念ながらどちらともその答えを出すことなく去ってしまった。やはり儚い雪の命……。
主な登場人物:はるる、ゆき、えみ
『まひるのヒツジ』(著者:てるうぃ)
掲載号:2013年8月号
❝コンビニはないけど自然があるよ!❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年8月号』.芳文社.194頁)
女子高生、日向まひるは、東京から船で片道六時間、自然あふれる離島「宵ヶ島」に通う“離島留学生”。本州との違いに驚きの連続。コンビニはないけど自然があるし、仲間もいるよ!ドキドキ離島ライフの始まりです。
「離島留学」をテーマにした学園コメディ。よくあるきららのとんでも制度かと思いきや、実際に調べると確かに存在するれっきとした留学スタイルで、令和6年度時点で留学生の受け入れ予定校数は200を超えるというから驚きだ。HP等で詳しい情報が記載されているので興味があればぜひ。ー離島留学とはー
話を作品に戻すと、本作品は、架空の離島「宵ヶ島」を舞台に主人公まひるとその仲間たちの送る離島ライフを描いており、「電車の切符を見て喜ぶ島育ちの友人」「コンビニが存在しない」「日によっては夜間に授業がある」など、本州との文化や制度の違いを漫画形式で学ぶことができる作品。
残念ながら1話のみの掲載であるため、離島での学校生活について深く触れることはできないものの、この作品で離島留学と言う存在自体を初めて知った読者もいたことだろう。私もその一人だ。こうして作品を通して自分にとって未知の文化や知識に触れることができるのも、読み切りゲストを追う醍醐味の一つだと思う。
主な登場人物:日向まひる、つきよ、あさひ
『ブラックスターガールズ』(著者:オガデンモン)
掲載号:2013年9月号・12月号、2014年2月号
❝正義のヒーローになってわたしと一緒に戦ってほしいの!❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年9月号』.芳文社.176頁)
柚月ユミは強い正義感と高い身体能力を持つ高校一年生。彼女はある日、同級生の岸さんから共に怪人と戦うことを頼まれる。悪の刺客である怪人から人知れず街を守るヒーロー。ユミもそんなヒーローの仲間入りをして……。(本誌欄外より抜擢)
きららとは思えない暑苦しいあらすじからの、ふたを開けてみれば連戦連敗の金欠ヒーローの悲哀を描いたコメディだった。
序盤こそ、主人公の柚月ユミ(ゆずき みゆ)が、その正義感と身体能力の高さを買われ、先輩ヒーロー岸梨星(きし りほ)にスカウトされるという超王道展開だったが、記念すべき初戦闘で黒星、続く2話ではボロアパートで自主トレーニング、3話では戦闘スーツと必殺技についての座学と、回を追うごとに地味になっていくヒーロー活動に涙を禁じ得ない。
才能を買ったやつも才能がなかった……というオチ。初めは正義感に燃え、生気に満ち溢れた“黒”で描かれた二人の目が、最終話では、戦いに疲れたのか“白”で描かれクマまでできているなど、細かい描写も魅力。
第1話ではテーマ的に厳しそう……というのが素直な感想だったが、第2話からの路線変更で一気に評価の変わった珍しい作品。
主な登場人物:柚月ユミ、岸梨星
『流星ガールフレンド』(著者:ミヤコヒト)
掲載号:2013年9月号
❝だからあと一歩だけ美帆ちゃん自身の足で進んでみてごらん❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年9月号』.芳文社.200頁)
「佐藤先輩と付き合いたい…!」藁にすがる思いで流れ星に願い事をした、恋する高校生、小野瀬美帆(おのせ みほ)こんなことで叶うはずがないと、肩を落とした次の瞬間、空から降ってきたのは何と“女の子”だった⁉。自分を流れ星だと言い張る彼女は、美帆の願いを叶えるためだと、強引に佐藤の元へ連れて行こうとするのだった……。
1話のみの掲載、結果から言ってしまうと美帆は佐藤にあっさりフラれてしまう。空から降ってくるという衝撃的な登場をした叶(かな)は、美帆や佐藤の素性を聞くだけで、超能力を発揮するでもなく、あくまで美帆の自主性を信じ機会を与えただけ。フラれた美帆もこれでよかったと何か吹っ切れた様子と、なんともメッセージ性のある物語だった。
最後は、願いを叶えられなかった責任として美帆の彼女になると言い出し、後日、彼女の通う学校に転入したことでタイトルを回収し幕を閉じる。流星の如くパッと輝いて消えていく読み切りの儚さと尊さを感じる作品。
主な登場人物:小野瀬美帆、叶、佐藤
『ちとせ中トゥルーパーズ』(著者:むうりあん)
掲載号:2013年10月号~12月号
❝地球外知生体の建造物とされる『AFS』が地球の空に現れてから 今日6月6日でちょうど20年❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月10号』.芳文社.151頁)
20年前地球に現れるようになった迷惑生物『宇宙害獣』学校に侵入してきたそれらを駆除するため組織されたのが『校内害獣駆除係』である!(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月11号』.芳文社.141頁)
コミュニケーションと害獣が苦手な猪上寿美子(いのうえ すみこ)は、転入生の浦川さおり(うらかわ さおり)と駆除係としてバディを組むことになったが、彼女にはある“秘密”があって……。果たして彼女たちは、宇宙生物から地球(の主にご近所)を守ることができるのか⁉(本誌欄外より一部抜擢)
あらすじだけ見ると、宇宙害獣との熾烈な生存競争を描くシリアス物に思えるが、実際は、“迷惑”な程度で危険度はゴキブリと然程変わらないレベル。作中開始時点で人類側はすでに対処手段を確立しており、特に緊迫感もなく、害獣駆除は人々の生活に普通に組み込まれているという世界観。ただ、宇宙害獣のデザインはがっつりクリーチャーなので、虫とか苦手な人にはちょっぴりキツイかも。
危険度の低い害獣の駆除は市民に任されていたり、宇宙生物を駆除できる殺虫剤がそこら辺で売ってたり、テレビを付ければ“害獣予報”なるものが放送されていたりと、とことん人類の生活に溶け込んでいる。こんな世界で虫嫌いの寿美子は、相当生きづらさを抱えているに違いない。
陰キャ主人公と異常性癖のバディ、宇宙害獣周りの作りこまれた設定にミリタリー要素と、情報盛りだくさんの意欲的な作品だったが、3話のみの掲載。宇宙害獣の生々しいデザインがネックだったか?後にも書くが、氏がいつも描いてるあの謎動物たちくらいのゆるさだったら結果は少し違っていたかもしれない。
因みに作中で使用される殺虫剤のメーカーはフマキ……ではなく「フマケラー」である。宇宙害獣が相手でも変わらない信頼性、流石大手と言ったところ。昔、話題になったあのCMが脳裏をよぎる。
氏の作品の特徴である物語とは関係なく現れる動物たち、過去作では隙間さえあればどこにでも湧いて出てきたが、今作は宇宙害獣もいるためか主張は控えめ。
主な登場人物:猪上寿美子、浦川さおり、高橋
『シロクロコミュニティ』(原作:石見夕、作画:よしだひでゆき)
掲載号:2013年10月号・11月号、2014年1月号~3月号・6月号
❝ワレはワレしかいなかった 故に名前など必要ない❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月10号』.芳文社.201頁)
滝鳴中学校に通う「普通」をこよなく愛する男子、南森悠馬(みなみもり ゆうま)は、ある日、動物を助けようとして土砂崩れに巻き込まれてしまう。死を覚悟し目を閉じた悠馬だったが、ふと目を覚ますと五体満足で生還していることに気付く。しかし、胸のあたりに何やら“異変”が……。普通の男子中学生と未知の生命体「ウーマ」が送るちょっと不思議な日常。
倫理観に疎い未知の生命体に寄生されるという既視感のある設定だが、「今は気にしないでおこう……」と思ったのも束の間、「ユーマ 心拍が異常に上がっているぞ(2話)」からの“ぱふぁ”で、「どう見ても寄○獣です。本当にありがとうございました。」主人公が「普通」の意味について思い悩む哲学的要素もあるのも余計にそれっぽい。
因みに当の作品は、本作品の第1話が掲載された数ヶ月後に実写映画&テレビアニメ化が告知されネット上で大変盛り上がっていたが、そのことが連載に踏み切れなかった原因なのかもしれない。
謎の生命体に取りつかれた主人公の謎を解明するため、美少女3人の所属する「超常現象研究サークル」に入部させられるというラブコメ的な要素もあるが、ウーマが危なっかしすぎてそれどころではない。
SF、ラブコメ、哲学、日常、全てを詰め込もうとした結果、方向性を決めきれなくなった感。第5話で思い出したかのようにヒロインたちの日常が描かれたが時すでに遅し……。
しかし、全6話とゲスト作品としては大奮闘しており、『青空』からの氏のファンも、今度こそと期待していたに違いない。だが、残念ながらその想いは届かず打ち切りに。
構想被りなど色々言ってしまったが、一つ一つのコマに氏の挑戦的な姿勢や意欲を感じさせる迫力があることは確かであり、デビュー作『青空』の掲載から、一年足らずでここまで仕上げたのは評価されるべきだと思う。
主な登場人物:南森悠馬、金山奈央(かなやま なお)、加々見良子(かがみ りょうこ)、笹時雨未与(ささしぐれ みよ)、アン・ブライス、伝十兵衛(でんじゅうべぇ)
『まんなかノート』(著者:ゆめ)
掲載号:2013年10月号~12月号
❝ちゃんと本当のことを書こう 嘘のない 見栄のない 本当の交換日記を…!❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月12号』.芳文社.212頁)
みちるとえーりは小さい頃からの大の仲良し。違う高校に通っているけど、家は隣同士で、「まんなかノート」での交換日記が日課です。(本誌欄外より抜擢)
幼馴染である二人の少女の交換日記をめぐる物語。平凡であることにコンプレックスを抱くみつるは、生徒会副会長も務める優秀なえーりとの交換日記で、彼女と対等になろうとつい見栄を張ってしまうなど、多感な時期の少女の内面を繊細に描いている。
気の置けない友人なんて言うけど、幼馴染だからこそ感じてしまうプレッシャーみたいなものもあると思う。私も久しぶりに会う友人の前では、ついつい良い報告ばかりしがち……作中のみちるもそうだが、「せっかく相手は、自分の情けない一面を知らないのだから、そのまま黙っておこう」みたいなこと、皆さんも一度は経験あるんじゃないだろうか。
でも、大抵そういう時、相手は知ってて黙っていてくれたりするのもあるある。
主な登場人物:みちる、えーり、冴子(さえこ)、茶川(さがわ)、花緒(はなお)
『女子高生に校則なんてない!』(著者:ミヤコヒト)
掲載号:2013年11月号
❝…遅刻も無いが窓から入ってくるな ここ3階だぞ❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月11号』.芳文社.80頁)
高校生三年間は短い―。青春真っ盛りの彼女達を縛る校則などいらぬ、いらぬのだー‼ルール無用の女子高生達が送るハイテンションコメディ。(本誌欄外より一部抜擢)
欄外にて「突発的ショートゲスト‼」と紹介されているように、通常だと12ページのところを6ページに縮小して掲載している。それにしても“突発的”って……本当は載せるつもりは無かったと言わんばかりの言いよう。
内容は、タイトルの通り、次々に現れる型破りな女子高生たちの送るカオスな学校生活を描いた物語だが、如何せん6ページしかないので、各キャラの掘り下げ等もなくノンストップで幕を閉じる。まさに嵐のような作品。
初めから連載は想定されていなかっただろうし、ページも半分ということで、著者もある程度好きにやらせてもらえたのか、全体的に「活きがいい」という印象を受ける。
主な登場人物に3人上げたが、名前が判明しているのがこの3人なだけで、実際はもっとたくさんいる。
主な登場人物:大木、早川、小高
『ひみつのふたりぐらし』(著者:かるは)
掲載号:2013年11月号・12月号
❝ゆきちゃん 痛いのは右?左? それとも腰かな?❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月11号』.芳文社.109頁)
一人暮らしの医大生、北川雪(きたがわ ゆき)は、勉強漬けで友達ができないことに悩んでいた。ある日、そんな彼女の元に同年の美大生、南ひなた(みなみ ひなた)が転がり込んでくる。突如始まるルームシェア、最初はマイペースなひなたに振り回されてばかりだったが、彼女にはある“特技”があって……。寂しい時は、誰かに触れられたい…?マッサージ百合4コマ。(本誌欄外より一部抜擢)
“マッサージ”をテーマにした大学生同居モノ。最近の作品で言えば『ほぐして、癒衣さん。』(芳文社/著者:ミナミト)がイメージに近いか。
ひなたの実家が整体院ということで、結構しっかりとした解説が入る。作品を読んだ後に思わず同じことを試したくなるが、相手が必要なことに気付いてすぐ諦めたのは私だけではないはず。マッサージを受ける際にちょっぴりイケない雰囲気になるなど仄かな百合要素も。
主な登場人物:北川雪、南ひなた
『大正幻想奇譚あやかしちらり』(著者:ちろり)
掲載号:2013年12月号~2014年2月号
❝私は人の世を探るために高尾山の大天狗に使わされた 妖狐じゃ❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2013年月12号』.芳文社.123頁)
舞台は大正時代、初春女学院で寮生活をする草薙薫(くさなぎ かおる)は、新しく同室に入る女学生に期待を膨らませていた。間もなく到着したルームメイト秋月紅子(あきづき べにこ)の可憐さに心奪われたその矢先、ひょんなことから彼女が狐の妖怪「妖狐」であることを知ってしまう。人の世を探るために高尾山からやってきたという紅子は、自分の正体を知った薫に自分の調査に付き合うことを命ずるが……。女学生と袴と狐…大正あやかしコメディ開幕。(本誌欄外より一部抜擢)
大正時代を舞台に、妖怪の世界に踏み込んでしまった薫のちょっと不思議な学園生活を描いた作品。まずは、大正の女学生と言うことで、袴にブーツと「ハイカラ」なファッションが目を引くが、袴はエピソードごとに違う模様になっているなど衣装面に力を入れているのが良く分かる。第3話はセンターカラーということもあって非常に映える扉絵だった。
同居人の妖狐、紅子の人間界調査に付き合わされるというファンタジー要素も取り入れており、時代も相まって母国なのに異国情緒を感じさせる。
人間調査と聞くと、紅子が人間文化に触れてカルチャーショックを起こす様子をコメディ仕立てにするのかと思いきや、紅子に力を分け与えられ妖怪が見えるようになった薫と共に学園の怪現象を解決するアクション的要素が強い。
花柄があしらわれた美しい袴にケモ耳と、大正ロマン溢れるビジュアル面に優れた作品だったが残念ながら3話のみの掲載。
主な登場人物:草薙薫、秋月紅子、花鳳院千鶴子(かおういん ちずこ)、淡路小夜(あわじ さよ)
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