惜しくも連載に届かなかった「ゲスト作品」、今となっては読む手段も非常に限られ、読者の記憶から忘れ去られるのを待つ一方となってしまいましたが、今に続くきららの長い歴史を支えてきた彼らの存在を風化させないためにも、私の知っている範囲で作品を簡単に紹介していきたいと思います。
※更新は不定期になります。連載作品のゲスト回は対象ではありません。
2014年1月号~
『RUN×BU』(著者:コウジ)
掲載号:2014年1月号
❝会長になったら最高の妻ってのになれるの?❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年1月号』.芳文社.164頁)
「最高の妻に必要なモノは圧倒的な力‼」
田舎からやってきた少女、嵐山 舞が編入した学園は、花嫁の修行の一環として生徒同士の争いを推進する型破りな学園だった⁉来て早々に戦いに巻き込まれる大波乱の初日、しかし、“ある人”を探しにきたという彼女の眼は真っ直ぐに輝いていて……?。カワイイだけじゃない‼熱血学園乱舞4コマ開幕‼
第1話から、「嵐を呼ぶ編入生登場‼➡内気な眼鏡っ子を庇い、ネームドに因縁付けられる主人公➡学園髄一の実力者である生徒会長とご対面」と、学園バトル物のお手本のような導入だった。「明るく能天気に見えて、キレると怖い」主人公あるある設定も完備。
平成の後期にもなって、ここまでコテコテの展開を見せられて一周回って感動した。きららにありそうでなかったジャンルだが、「なぜ今まで誰もやらなかったか」を結果で示して見せた作品。
でも、中等部を「中闘部」にするセンスは結構好き。
主な登場人物:柳 芽衣、皇麗子、東ヶ崎、皇美優
『全力パッションゲーム』(著者:ハル犬)
掲載号:2014年1月号・2月号
❝私達と一緒に 青春の淡い情熱を育てて見たくないかい⁉❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年1月号』.芳文社.172頁)
三度の飯よりゲームな乙女、竜桜は今日も落書きに夢中で授業も上の空。そして、そんな彼女が内に秘める“情熱”に何かを期待する少女が二人……。突如現れた杉村 咲花のパッション溢れる勧誘によって「ゲーム研究部」へ入部させられそうになる竜桜だが、彼女たちの作るゲームは、どうも○○○が微妙で?全力で作ります‼ゲーム開発4コマ始動。
ゲーム開発が題材の作品。プログラマーとリーダーはいるけど、肝心のキャラデザが……という所に絵が描ける主人公が入部するという王道な展開。
月刊誌のきららでは、展開を重視して部員集めパートで主人公が最後の一人というケースも多い中、第1話でキャラクターデザイナー、第2話ではサウンドクリエイターと、部員一人一人の入部描写に丁寧に話数を割いているのが印象的。
全力なのはゲーム作りだけではなかったが、部員集めに全力を出し過ぎて全2話で幕を閉じた。肝心のゲーム開発部分が見れなかったのが残念。
RPG好きの主人公が「りゅうおう」だったり、某星の戦士を想起させる著者名だったりと細部に遊び心を感じる。
主な登場人物:竜桜、並木、杉村咲花、蛇川 紅
『ワケありずむ Complex』(著者:そと)
掲載号:2014年2月号~4月号
❝ここは「ワケあり」歓迎よ 幽霊も人間もね❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年2月号』.芳文社.180頁)
春から一人暮らしを始める女子高生、蝶野 繭子。格安女子限定の条件につられて契約したアパートは全室に幽霊が住み着く「ワケあり」物件だった⁉幽霊も変人も大歓迎‼ワケありな住民達が送るドタバタコメディ。
幼少期から幽霊が見えることで周囲から気味悪がられていた少女が、クラスメイトの管理するワケあり物件に入居するという物語。
主人公の住む一部屋だけではなく、アパート全体がワケありと言う豪快さ。その蘭子も、初日に自室で出くわした幽霊に一人部屋だから出て行けと賃貸契約書を見せる豪胆さを見せる。
妙に現世慣れしている幽霊たちの小気味よい幽霊トーク、電波少女に心霊マニアの同級生など霊にも負けない変人ぞろいの人間たち、ちょっとしたハートフル要素に加えて、アパートの管理人である大森 小巻の謎など、多岐にわたる要素をバランスよくまとめており非常に読みやすいと感じた。
内気そうで憂を秘めた少女という印象を受ける繭子、回想のいじめ描写などから少しほの暗い物語かと思ったが、第2話で現れたクラスメイトの変人っぷりに「あっ、これ大丈夫なやつだ」と安心させられた。心霊マニアが霊感無いのはあるある。
主な登場人物:蝶野繭子、大森小巻、北条 南、武者小路 姫子
『コナツトコナツ』(著者:四六屋)
掲載号:2014年1月号
❝冬の常夏荘に夏が来た…❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年3月号』.芳文社.90頁)
両親の海外出張に伴い、叔母の管理する“常夏荘”で独り暮らしをすることになった女子高生、神楽坂 小夏。不安と期待を胸に自室のドアを開ける彼女だったが、何故かそこには先客が⁉やさしいお姉様たちと着ぐるみ(?)な叔母に囲まれ、小夏のちょっぴり温かい独り暮らしが始まります。
女子高生×お姉さまが送るガールズ下宿コメディ。初日から年上の女性二人にパシらされる主人公が不憫だが、多めに持たされたお金で好きなものを買っていいと姉貴肌を見せる冬華たちが中々いい味を出している。因みにお金は足りなかった。
着ぐるみを着て家事を行うロリババアな叔母など、個性豊かな住人たちが送る下宿コメディが展開されると思われたが、残念ながら1話のみの掲載。
主な登場人物:神楽坂 小夏、梶浦 冬華、あきら
『秘密のアイドル!』(著者:たかなしはると)
掲載号:2014年3月号
❝私たちがFilosだってバレたら…❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年3月号』.芳文社.100頁)
地味でチビで内気な女子中学生の心音、先生にも忘れられてしまうくらい目立たない彼女には実は“もう一つの顔”があって…?超人気アイドルなことはみんなには絶対内緒‼心音のドキドキ学校生活開演です。
いつの時代も一定の人気がある「地味な女子中学生が実は人気アイドルだった⁉」モノ。少々ガサツなユニットアイドルの相方、七海との仄かな百合要素など全体的にきららナイズドされているが、正体がバレたらやるしかないと学校にスタンガンを持ち込む心音はどうかしている。アイドルだし護身用だと信じたい。
第1話は、扉絵の前に非4コマで1ページ余すところなく描かれた導入部分など、読者の目を引く工夫も見られたが、残念ながら1話のみの掲載。
主な登場人物:心音、七海、
『ふぉーかす!』(著者:garnet)
掲載号:2014年3月号~5月号
❝おや! 貴君 ずいぶんと良いカメラをお持ちだ!❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年3月号』.芳文社.132頁)
ある日、遠方の祖父から送られてきた古いカメラ。飯塚マリーは、カメラを手に思い出に浸りながら町へ出たが、道中で思いがけずカメラを分解してしまう。思い出のある品だっただけに動揺するマリー、そんな彼女の元に写真部を名乗る少女、百道 さよこが現れる。「今日はこのカメラを きちんと扱えるようにしてあげよう」カメラで広がるマリーの世界、その景色をちょっと覗いちゃいます。
カメラ×女の子4コマ。きららでもちょくちょく見かける題材だが、他と比較するとカメラの構造や仕組み等の解説にかなり力を入れている印象。フィルムカメラにフォーカスを当て、そのレトロな味わいを知ってもらいたいという熱意を感じる。
主人公のカメラは、フィルムカメラの名機として知られる「Leica M3」とかなり渋めのチョイス。レンズも「ズミクロン 50mm F2」という徹底ぶりで、著者のこだわりがうかがえる。因みに友人のさよこは、「ペンタックス SPⅡ」、「Zorki-4」
残念ながら3話のみの掲載、主人公たちの持つ機種が少々マニアックだったか。こういった趣味モノだと、本当にやるのかはさておき「自分にも真似できそう」と読者に思わせるのは結構大事なのだと再認識させられた作品。
主な登場人物:飯塚マリー、百道さよこ、星野さゆり
『制服デイズ』(著者:クマノイ)
掲載号:2014年3月号~5月号
❝だってスカート恥ずかしいだもん❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年3月号』.芳文社.156頁)
男の子っぽく見られることにコンプレックスのある女子高生、栞は今日も朝からジャージ登校。しかし、「制服」をこよなく愛する転校生、遥との出会いによって彼女の日々は少しずつ様変わりしていくのだった。友達を愛し、制服を愛せ…!女子高生制服物語開幕です。(本誌欄外より抜擢一部)
自分は女の子らしくないからと制服が着れない少女が主人公という、当時としては中々繊細なテーマを取り扱っている作品。LGBTという言葉が高校の教科書に初めて掲載されたのが2017年頃であるため、時代を一歩先取りした作品ともいえる。
とは言ったものの、温かみのある画風と“制服マニア”というもっとマイノリティーな趣味を持つ友人のおかげ(?)で、重たい雰囲気は感じない。地域や学校ごとに違う制服の特色と言った雑学要素や、栞を中心とした仄かな百合要素など、よく見るときらららしい要素もしっかりと兼ね備えていたりする。
遥との出会いをきっかけにコンプレックスを乗り越え制服趣味に目覚めていく……というような物語を展開予定だったのだろうが、残念ながら3話のみの掲載であったため、遥の熱弁も空しく栞は最後までジャージ姿だった。しかし、それもまた多様性なのかもしれない。
主な登場人物:鈴木栞、遥、早倉、ちなみ
『やるきぬくもり』(著者:おさじ)
掲載号:2014年3月号
❝だって… ぱんつはく元気なかった…❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年3月号』.芳文社.183頁)
季節は夏、帰省のためアパートを留守にしていた温乃は、一人残してきた下宿仲間の真森を心配していた。久しぶりの帰宅で様子を見に来た温乃の目に飛び込んできたのは、真夏にコタツ、コートまで着込んだ異様な森野の姿だった……無気力だけど、二人なら、ふかふかでぽっかぽかな下宿ライフはじまります。(本誌欄外より抜擢一部)
自堕落な生活をしてたら、物事に対するやる気と一緒に体温も下がるトンデモ体質になってしまった友人との下宿物語。
一刻も早く医療機関を受診するべきだが、肝心の真森は、下着を履かされそうになったり(?)、鍋を食べたり、ゲームしたり、温乃とイチャついたりと……いまいち緊張感が無い安定のきららクオリティ。
物語が続けば、あの手この手で真森の熱を取り戻そうとする温乃の奮闘劇が見られたのかもしれないが、残念ながら1話のみの掲載。
二人の名前を合わせると「守り抜くの」になるのはちょっと好き。
主な登場人物:温乃、真森
『』(著者:)
掲載号:2014年月号~月号
❝❞
(引用/『まんがタイムきららミラク2014年1月号』.芳文社.頁)
主な登場人物:
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