作品紹介(キューン)

【作品紹介】第12回「百合ドリル」(原案:奥たまむし)

作品概要

『百合ドリル』は、原案者である奥たまむし氏によるアンソロジーコミックです。(全5巻)

本作品は、『百合ドリル』から始まりその後の『難問編』『応用編』『自由研究編』『沼編』の5作品から構成されており、「~の百合を表現せよ」というお題に対して作家が、1ページの漫画やイラスト、短編漫画で回答していくドリル形式の作品です。

なんといっても驚くべきはその作家数で、一作目となる『百合ドリル』では原案者の奥たまむし氏を含む総勢39名、シリーズ累計で81名と日頃から百合漫画を愛読している方なら一度は目にしたことがあるであろう錚々たる作家陣で構成された本作品は、百合作品を好む読者にとって必読の作品です。

ここでは、そんな本作品をシリーズごとに分けて紹介していきたいと思います。



あらすじ

至高の百合を思考せよ!世界初!? 百合教本誕生!

【百合ドリルとは】
「~の百合を表現せよ」というお題に対して、1ページの漫画やイラストで回答していくドリル形式の百合トレーニングのこと。

引用:https://comiccune.jp/comics/yuridrill/321711000630.html/2023年8月30日閲覧



こんな方にオススメ

多種多様な百合表現に触れたい方
X(旧名Twitter)で「#創作百合」などでよく検索される方

本シリーズの特徴は何といっても参加された作家と課されるお題の多さにあります。同じお題でも作家が違えば表現や価値観も様相が変わり、百合表現一つとっても本シリーズでは「作家数×お題数」の数だけ多種多様な百合表現に触れることができます。

また本作品は、一作品ごとのページ数が少なく余分な力を抜いて気軽に読むことができるため、普段からX(旧名Twitter)で「#創作百合」などで検索される方にとっては、そこで投稿されている作品を読むのと同様の感覚で楽しむことができます。

良くも悪くも定義が曖昧で多様な表現の仕方がなされる近年の百合というジャンルですが、もともと百合が好きな方もそうでなかった方も、本シリーズに触れればこれまで知ることのなかった新たな百合表現に魅力を見出すことができるのではないでしょうか。

以下に本シリーズに参加された作家とその著書を記載しているので、気に入った作家が見つかればこれを機会にその方の著書も読んでみるのも一興だと思います。

以上を踏まえ、全5巻という揃えやすさも含めて是非読んでいただきたい作品です。



百合ドリル

シリーズ一作目となる本作品は『MFC キューンシリーズ』(KADOKAWA)として2018年3月26日に発行されました。

本作品では、シリーズ中最多となる総勢39名の作家陣が参加しており、「~の百合を表現せよ」というお題に対して、1ページの漫画やイラストで回答していくドリル形式となっております。

お題は
「学生百合」
「同棲百合」
「姉妹百合」
「年の差百合」
「社会人百合」
「ファンタジー百合」
「幼なじみ百合」
「先輩×後輩百合」
「最高に興奮する百合」
の全9問であり、百合描写としては比較的王道構成となっており正に「入門書」といった仕上がりになっています。

以下に、参加された作家と主な著書を記載します。

作家紹介 作家名(敬称略)/主な著書

アジイチ/『できそこないの姫君たち』(竹書房)
天野しゅにんた/『愛されてもいいんだよ』(講談社)
伊藤ハチ/『月が奇麗ですね』(一迅社)
奥たまむし/『明るい記憶喪失』(KADOKAWA)
河合朗/『ギャルとオタクはわかりあえない』(KADOKAWA)
黄井ぴかち/『羽山先生と寺野先生は付き合っている』(一迅社)
くるくる姫/『ゆりぐらし』(KADOKAWA)
げしゅまろ/『椿様は咲き誇れない』(KADOKAWA)
コダマナオコ/『捏造トラップ-NTR-』(一迅社)
こるり/『桃色トランス』(一迅社)
昆布わかめ/『ジャヒ―様はくじけない!』(スクウェア・エニックス)
しの/『サキュバスさんのはつしごと』(一迅社)
菅野マナミ/『ひまわりさん』(メディアファクトリー)
高崎ゆうき/『桃色シンドローム』(芳文社)
タカダフミ子/『同居人が不安定でして』(KADOKAWA)
竹嶋えく/『ささやくように恋を唄う』(一迅社)
タジマ粒子/『ラスボス、やめてみた~主人公に倒されたふりして自由に生きてみた』イラスト(スクウェア・エニックス)
ちさこ/『北陸とらいあんぐる』(KADOKAWA)
遠山えま/『わたしに××しなさい!』(講談社)
ならば/『大上さんとケルベロスゥ!』(一迅社)
二階堂幸/『雨と君と』(講談社)
野中友/『みらいのふうふですけど?』(一迅社)
はちこ/『百合百景』(KADOKAWA)
ばにら棒/ハッテン途上の性癖事情』(エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ)
原悠衣/『きんいろモザイク』(芳文社)
ハル犬/『左遷された無能王子は実力を隠したい』イラスト(KADOKAWA)
広瀬まどか/『みみみっくす!』(一迅社)
フライ/『弱キャラ友崎くん』イラスト(小学館)
べにしゃけ/『百合に挟まれてる女って、罪ですか?』イラスト(KADOKAWA)
みかん氏/『不揃いの連理』(KADOKAWA)
みなみ/『豚のレバーは加熱しろ』漫画(KADOKAWA)
むく/『今日も女の子を攻略した。』(KADOKAWA)
めの/『あとで姉妹ます。』(一迅社)
もちオーレ/『悪いが私は百合じゃない』(KADOKAWA)
森永みるく/『GIRL FRIENDS』(双葉社)
安田剛助/『姫ヶ崎櫻子は今日も不憫可愛い』(KADOKAWA)
雪子/『ふたりべや』(幻冬舎)
majoccoid/『イケメン女と箱入り娘』漫画(一迅社)
Tiv/『政宗くんのリベンジ』漫画(一迅社)



百合ドリル 難問編

シリーズの二作目となる本作品は『MFC キューンシリーズ』(KADOKAWA)として2019年2月27日に『応用編』と同日に発行されました。

本作品では、「難問編」と題打っているだけあって設問も
「学生百合」
「大人の百合」
「キスのある百合」
「吸血鬼百合」
「いけないとわかっているけど…な百合」
「本当にあった百合」
「バトルな百合」
「となりのお姉さんとなにかする百合」
「ベッドにおける(※敷き布団も可)百合」
「未来の百合」
「後世に残したい尊き百合」

の11問と前作の王道展開から一転して、複雑かつ具体的なお題になっています。

お題に対して、1ページの漫画やイラストで回答していく形式は前作と同様です。

以下に、参加された作家と主な著書を記載します。(※上記ですでに記載のある著者は著書を省略しています)

作家紹介 作家名(敬称略)/主な著書

相崎うたう/『どうして私が美術科に⁉』(芳文社)
缶乃/『あの娘にキスと白百合を』(KADOKAWA)
嵩乃朔/『吸血鬼ちゃん×後輩ちゃん』(KADOKAWA)
はるかわ陽/『塔子さんは家事ができない。』(KADOKAWA)
平尾アウリ/『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(徳間書店)
深山おから/『俺のぱんつが狙われていた。』(KADOKAWA)
焔すばる/『ちちゆりガールズ』(ジーウォーク)
まつだひかり/『まことディストーション』(KADOKAWA)
綿桐さや/『須波優子と百合な人びと』(KADOKAWA)

天野しゅにんた、伊藤ハチ、奥たまむし、河合朗、黄井ぴかち、くるくる姫、コダマナオコ、昆布わかめ、しの、タカダフミ子、竹嶋えく、ちさこ、はちこ、広瀬まどか、みかん氏、めの、安田剛助、雪子、majoccoid



百合ドリル 応用編

シリーズの三作目となる本作品は『MFC キューンシリーズ』(KADOKAWA)として2019年2月27日に『難問編』と同日に発行されました。

本作品は「応用編」ということで形式が変わり、お題に対して短編漫画で回答していく形式となっており、一人につき1ページであった上記二作品とは違いストーリー性が盛り込まれるようになり読み応えのある仕上がりになっています。

お題に関しては
「学生百合」
「同棲百合」
「年の差百合」
「社会人百合」
「ファンタジー百合」
「幼なじみ百合」
「先輩×後輩百合」
「最高に興奮する百合」
と一作品目の『百合ドリル』と同じ構成となっており、前作と読み比べてみるのも一興だと思います。

以下に、参加された作家と主な著書を記載します。(※上記ですでに記載のある著者は著書を省略しています)

作家紹介 作家名(敬称略)/主な著書

天野しゅにんた、伊藤ハチ、河合朗、黄井ぴかち、コダマナオコ、しの、タカダフミ子、嵩乃朔、はるかわ陽、広瀬まどか、焔すばる、みかん氏、めの、安田剛助、雪子、majoccoid



百合ドリル 自由研究編

シリーズの四作目となる本作品は『MFC キューンシリーズ』(KADOKAWA)として2020年1月27日に発行されました。

本作品は「自由研究編」ということもありお題は設定されておらず、作家自ら思い思いのジャンルで百合を4ページという枠内で表現しています。

お題が設定されていないため作家の個性が強く出やすく、既存のファンはもちろんのこと作家の新規開拓を目的とした方にもオススメの作品です。

従来の作家陣に加えて新たに11名の作家が加わり新鮮味を感じる構成になっています。

以下に、参加された作家と主な著書を記載します。(※上記ですでに記載のある著者は著書を省略しています)

作家紹介 作家名(敬称略)/主な著書

いうのす/『“かわいい”はキミのもの』(KADOKAWA)
井上とさず/『放課後スイッチ』(講談社)
春日沙生/『さかさまロリポップ』(芳文社)
くずしろ/『姫のためなら死ねる』(竹書房)
sheepD/『派遣とバリキャリ』(大洋図書)
白玉もち/『わたしはサキュバスとキスをした』(KADOKAWA)
ツナミノユウ/『ふたりモノローグ』新装版(小学館)
中村たいやき/『1×1/2-イチトニブンノイチ-』(ナンバーナイン)
東河みそ/『姉ヶ崎さんは幸せになりたい』(アムコミ)
雪尾ゆき/『へんたいよくできました』(一迅社)
ゆりかご/『JSさんとOLちゃん』(祥伝社)

天野しゅにんた、伊藤ハチ、黄井ぴかち、河合朗、昆布わかめ、二階堂幸、みかん氏、むく、雪子



百合ドリル 沼編

シリーズの五作目となる本作品は『MFC キューンシリーズ』(KADOKAWA)として2021年3月27日に発行されました。

本作品は「沼編」と題しているだけあってお題も
「はじめてハマった百合沼 今ハマっている百合沼」
「三角関係百合」
「アイドル百合」
「おっぱい百合」
「結婚百合」
など「難問編」に劣るとも勝らない個性の強いシチュエーション指定になっているのが特徴です。

ここまでシリーズを読んできた目の肥えた読者の期待に応えるシリーズ最終作にふさわしい仕上がりになっています。

本作品の作家陣は前作の「自由研究編」からさらに増え、新たに22名の作家が加わりシリーズ累計で81名の作家が参加することになりました。

以下に、参加された作家と主な著書を記載します。(※上記ですでに記載のある著者は著書を省略しています)

作家紹介 作家名(敬称略)/主な著書

朝野やぐら/『灼熱の卓球娘』(集英社)
天乃咲哉/『このはな綺譚』(幻冬舎)
香川悠作/『ネイルちゃんと深爪さん。』カバーイラスト(宙出版)
甘露アメ/『だーがしゅか』(KADOKAWA)
楠本とうか/『好きこそももの上手なれ!』(一迅社)
鴻巣覚/『がんくつ荘の不夜城さん』(芳文社)
こや/『通勤電車のOLとJK』(小学館)
桜庭友紀/『魂の関所にて』(ジーオーティー)
サブロウタ/『citrus』(一迅社)
シバユウスケ/『ペコロス』(スクウェア・エニックス)
スズオ/『狛田さんを困らせたい』(竹書房)
玉崎たま/『行進子犬に恋文を』(一迅社)
ちうね/『紡ぐ乙女と大正の月』(芳文社)
毒田ペパ子/『さよならローズガーデン』(マックガーデン)
ネコ太郎/『猫娘症候群』(一迅社)
緋月アキラ/『欲望パンドラ』(ジーオーティー)
ぼや野/『ぽんこつヒーローアイリーン』(芳文社)
ミナミト/『海色マーチ』(芳文社)
みやしろ/『夢見るメイドのティータイム』(KADOKAWA)
結野ちり/『スカーレット』(一迅社)
らぐほのえりか/『すくりぞ!』(芳文社)
merryhachi/『立花館To Lieあんぐる』(一迅社)

天野しゅにんた、黄井ぴかち、奥たまむし、コダマナオコ、嵩乃朔、広瀬まどか、みかん氏、雪子、majoccoid



最後に

今回の作品紹介はいかがだったでしょうか。

今回は、感想などを述べるというより資料集的な作品紹介となりました。箸休めのつもりで投稿する予定でしたが、著書などを調べるのに非常に時間がかかりました…

ここまで、きらら作品以外からの作品紹介が続いたので次回は『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)から作品を紹介したいと思います。

長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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